パラレル 雨音(コロネロ→にょツナ)義姉弟パロ 「ただいまぁ」 ツナが多少雨に濡れながらも家に着くと、まだ誰も帰ってきていないようで、家の中には雨の降る音が響くだけだった。 「・・・ん?」 今朝、確か義弟のコロネロが早く家に帰ると言っていた筈だ。 そう疑問に思ったが、深く考えないようにした。 コロネロにはコロネロなりの世界があるのだ。おそらく、何処で雨宿りがてら遊んでいるのだろう。 ツナはとりあえず冷えた体を温める為、脱衣所に向かった。 その少し前、コロネロは朝言っていた通り、早めに帰って来ていた。その時はまだ雨が降っていなかったが、鞄を部屋に置いているとぽつぽつと雨の音が聞こえてきた。 「・・・ツナの奴、大丈夫か、コラ」 血の繋がらない五才上の姉は普段は健康だったが、思い出した様に体を壊す事があった。 しかも中々治らず、軽い風邪でも何日も尾をひいて咳込んでいたのを覚えている。 「ったく、しょうがねぇな」 コロネロにはもう一人、血の繋がった兄がいるが自分と同様、人間離れした生命力があるので端から心配していない。 おそらく、アマゾンの奥地で行方不明になった彼の兄・リボーンと、近所で迷子になったツナのどちらを助けるかと問われたら、迷わずコロネロはツナを選ぶ。 アマゾンのリボーンは毒蛇等を食べてでも生き残るだろう。 コロネロはとりあえず、ツナを迎えに行こうと、靴をまた穿き直し、二本の傘を持った。 高校が見えてくると、タイミングよくツナが校門から出てくるのが見えた。本降りにならない内に帰ろうと、小走りにこちらに向かってくる。 「ツナ!」 大きい声で呼んでも雨の音や人の声で掻き消されてしまい、ツナは気付かない。 コロネロも小走りで近づいていった。 「−−ツ」 「ツナ!」 −−−−誰 見たことのない男だった。 背が高い男だった。 背が、ツナよりも高かった。 ツナと同じ学校の制服だった。 ツナと同じくらいの年だった。 ツナと同じ・・・・ −−−−−俺よりも ツナは呼ばれた声に気付いた。 そして相手を見つけると笑って呼び返した。 「山本!」 ツナはあいつを知っているようだった。 ツナは笑っていた。 あいつが差し出した傘を遠慮しながらも受け取って、ありがとうと言っていた。 ツナ、俺は『山本』よりも先にお前を見つけたぞ。 ツナ、俺もお前に貸す傘を持ってる。 ツナ、ツナ −−−−置いて行くな。 ツナは山本と呼ばれた青年と一緒に、コロネロの横を通り過ぎて行った。 大粒の雨が傘に打ち付けられ、ボトボトという音がコロネロの耳に響いた。 人がコロネロの横を通り過ぎて行く。 何分経っただろう。コロネロも、もと来た道を歩き始めた。 ゆっくり、ゆっくり。 噛み締めるように。 雨音 [戻る] |