baphomet...D
眠る一人に対して、ぼんやりと眺めていると、こちらも眠たくなったのか、欠伸を一つ落とした。あれから、どれだけ時間が立ったのかは分からない。
その眠たそうな瞳に写るのは、扉に写る自分の顔と、もう一人、存在を現せる。
苦い表情を次にはする物の、眠たさは消えないだろう。
「誰かと思えば、白(はく)ちゃんじゃあないか、あー、もしかして迷子かなぁ?」
口元には笑みを浮かべているものの、あまり嬉しそうな表情は出さない。
さらさらと頭を撫でられ、片手は仮面の者へと指差して、その赤毛の者は、ニッコリと微笑んだ。
「後始末が出来ないんなら、遊ぶんじゃねぇって、お兄様はいつもいってるよな?」
「アンタだって片付け出来無いじゃねぇかよ紅蓮(ぐれん)…」
撫でていた手は強く押さえ込まれるように撫でられてゆき、紅蓮と呼ばれる者はしゃがみ込み、白蓮(はくれん)へと視線を合わせるように顔を近づけて行けば、首を傾げて、再び微笑んだ。
「痛てぇよ、離せ、この馬鹿が!」
「あ?兄に対して、馬鹿とかためろって良いと思ってんのか?この餓ー鬼ー、、」
じたばたと、手を解こうと暴れ出す白蓮に対し、余裕で押さえ付け、ニッコリ ニッコリと笑う紅蓮。
その煩さに、黒蓮(こくれん)が目を覚まし、ゆっくりと目を擦りながら起きるだろう。そんな黒蓮に、二人は気付かないまま、煩さを増している。
「ほんっと、可愛くねぇよなてめぇはよ…ま、懇ろなりゃあ可愛い声が聞けると思ってるけどなあ?」
「は、アンタ何かにサービスするほど、低いレベルじゃねぇ…大体……」
押さえ付ける力は強まり、押し倒されてしまうだろう。
「へぇ…」っと、妖しげな笑みを向けながら、舌を薄っすらと出す紅蓮の顔が、真上に見える状態になっている。顔を背ける事は無く、白蓮は真っ直ぐと紅蓮を見ている。
「…退 け よ?」
強調するように、言葉を出せば、笑った笑みではあるが、その目は、鋭く尖るような物を表せている。同時に、プレッシャーも放っているだろう。
実の兄であっても、常に己に隙を見せる事は無い。
その空気を変えたのが、小さな黒蓮の手が、紅蓮の腕に添えられた時だ。
舌打ちを落とし、ゆっくりと手を退けて行く…その訳は、どの意味に値するのか、まだ先の未来に続く遠い話。
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