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Vegetable Trouble-1
蓮一族の屋敷に来て数日。Rome様も、ひより も、少しは馴染んだ所でしょうか。蓮一族の皆様とも、距離感が無くなっているようにも思えます。時々、研究室を借りて、実験をさせて貰える事も、有り難く思っています。まだまだ、Rome様や ひより のように、優れた発想能力は、持ち合わせていませんが。

「夢、それは何の実験をしてるんだ?」

眠たそうな面持ちで、研究室に入るなんて、決してやってはいけない事。しかし、当たり前のように、ひより は ひょっこりと現れて、夢の実験内容に目を通した。

「忍耐力の薬か、確かに必要な物だな」

目を通す早さも早い。本当に、一分前まで、ソファーで眠っていた者の頭の早さなのか?と疑う程に感じる。フラスコを片手に、ゆらり と液体を混ぜて、見つめている。自分がやれば、異物が出てしまい、泡が入り込む液体。しかし、彼にはその様子が無い。

「ひより…」

「ん?」

どうすれば良い?と聞けば早い事なのに、悔しさが邪魔をして、変に態度と出てしまう。複雑そうな顔をして、フラスコを取り上げてしまった。ひより はキョトリとした顔をして、夢の顔を覗き込む。

「ごめん、余計なお世話だったかな?」

発見をしつつ、実験をやってる夢に、アドバイスのつもりが、作業を取ってしまった気で ひより はいた。そこに、Romeも姿を出して、何かがあるような事は無く、さらりと話し掛けた。

「夢、ひより 作業の最中ですが、少し此処を貸しては頂けませんか?」

「嗚呼、構わないよ」

「はい」

Romeが礼を言った後に、二人は研究室から離れて、出た所のソファーへと座り、一服。ガサガサとポケットから飴玉を出して、夢へと 渡そうとする。夢は顔を横に振り、飴玉を持つ手は下された。その時だった、研究室から、変な臭いを感じたのは。ひより は慌てて、研究室の扉を開けた。そこは 煙りに充満された状態に成っていて、ひより はRomeの名前を叫ぶ。夢もまた、Romeを探そうと、積極的に、煙りの中へと入って行く。警報音が屋敷に鳴り響き、慌てた様子は無いが、蓮一族の全員も研究室へと足を運ばせる。

「珍しいもんだな、失敗でもしたのか?」

欠伸を一つして、白蓮は、部屋の中へと足を進ませる。黒蓮もまた、白蓮に続き、紅蓮は外で腕を組みながら待っている。蓮華の姿が要約此処で現れて、紅蓮が片手を上げて、挨拶をする。

「何か、ありましたか?」

「ああ、ちぃっとばかし、実験に過ちしたって所か?幸、火のような物は感じないから、安心はしてるけどな」

「確かに、火の気配はありませんね」


煙りが少しづつ無くなり、研究室の姿も曇り状態ではあるが、見えてきた。「さて、行くか」と紅蓮と蓮華は部屋に入る。すれば、違和感を覚えるだろう。手から腕、足のつま先から、腰、じわじわと痛みを感じて、自分の手を見つめる。

「…これは!全員、部屋から出ろ!!」

煙が晴れた時、既に遅くあり、最初に見たのは、一緒に入った蓮華の姿だ。苦笑混じりに、これは やばいと、何時もの低い声が何処にも無い。

「…!」

蓮華もまた、紅蓮の姿を見つめて、小さく溜息を吐き出した。そして、服がストーンと落とされる程にブカブカな状態に、苦笑をし、自分の体に巻き付ける。晴れた状態から、他の子達にも、紅蓮は慌てて近付き、様子を伺う。
ひより 夢 白蓮 黒蓮 は パッタリと倒れており、その姿は人間の年齢にすれば、3〜5歳ぐらいの物か。紅蓮や、蓮華は、煙が薄れた時に入った為、幸いな事に、10〜12歳ぐらいの年齢といった所。
そして、Romeの姿が何処にも無いと思っていた。窓から吹き付ける風のカーテンを間に、人影が映る。そこにRomeの姿はあった。「良かった」と思う事に複雑な気持ちは後からついて来る。Romeの姿は、何一つと変わっていない?いや、何処か大人びているかも知れない。いや、違う存在感を感じるような血色と云うべきだろうか。そして、やや身長も伸びている?髪色はプラチナゴールドのような色に、目玉は深く綺麗な青色だった。
Romeは全員に近付き、先ずは夢へと顔を向けて、抱き上げた。

「…君って人は…」

夢は目を覚ませた。ふ、と違和感を覚える。Romeが、自分の目の高さ以上にある事、そして、抱き上げられていると言う事。そして、何か違うとは思うが、第一声が、

「Rome様っ!」

名前だった。それには、周りも、ふ、と笑うだろう。何処か安心を夢から貰ったような気もしている。

「良いですか、よくお聞きなさい!…


Romeの言葉は長くに渡り、小さな夢へと、お叱りを下る。この光景は、以前までの物と同じだ。そう、何一つと変わり何て無いのだろう…。その頃となると、周りの者達も目を覚ませて、自分の異常を知る。しかし、慌てた様子も無く、普段と変わらないような姿が見られた。

「ま、そんなに怒ってやんなよ羊。皆、生きてるって事には良しとしようぜ?ハハッ」

この声と、姿の白蓮の事を、Romeは知っている。出会った頃の彼は、丁度 今の姿と同じぐらいだからだろうか。少々、懐かしくも感じる。この、蓮一族の姿に関して。蓮華は ひよりへと近付き、頭をサラサラと撫でていた。彼もまた、懐かしむ様子が伝わるような、そんな感じを、彼もまた、感じ取っていたのだろう。




「さて、困るとすれば、睡蓮側の敵が、潜入すんには、持って来いな状態だ。この姿だと、アイツに取って、虫以下なもんだ」

「寧ろ、眼中にも無いんじゃねーの?」



後から出された白蓮の言葉と、口に咥えた煙管に、紅蓮が手早く取るだろう。白蓮は、ぽかーんっとした表情をして、紅蓮を見ている。「何すんだ!」と、口にした瞬間、嗚呼、と自分自身理解した。「(未成年)」怒りが、夢への向こうとするが、既に夢は、Romeの説教にぐったりとしていた。ひよりは相変わらず眠たそうにしている。

「…焦っても仕方が無い、先ずは腹ごしらえでも始めましょうか」


こんな時に、一番冷静なのは、黒蓮である。で、誰が料理を作るんだ?と疑問を浮かべて目を向けた一向は蓮華に。しかし、この身長で、キッチンに立てるとは思えない。「何の為の翼ですか?」と、苦笑を見せて、蓮華はキッチンへと向かう。一向もまた、キッチンへと向かい、蓮華の行動を眺めているだろう。


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あきゅろす。
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