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Trap-5
静まった沈黙の中、続けますと言葉を出して、現れた雀サイズの鴉に手を下し、優しく撫でる蓮華の姿に目を向ける一行。

「最後に、小悪魔のCaym(カイム)今は鳥の姿に成ってはいますが、の姿である事が多いです。猫かぶりは止めては如何ですか?」

すると、鴉の姿から人型に変わり、こちらを見て、ニッコリと微笑んだ。続く蓮華の言葉に耳を傾けながら、Caymと呼ばれる小悪魔の動きを見つめている。

「本来、悪魔の召喚等と出来る身には私にはありません。この子は特別に出来た小悪魔でありましてね。生まれを持って死んだのを生き返らせたと言ってもおかしく有りませんね。」

「死んだものを生き返らせる、そんなもんが可能だったら、この世の中、荒れ狂っていると思うけどな」

紅蓮がボソリと呟くように言うと、蓮華は フ、と笑みをみせる。Caymをそっと近付かせて、首根っこを掴み、後ろ髪を上げさせた。

「ご存知ありませんか?器があれば、後はマ………


空気が変わるだろう。放つ一瞬の空気には、蓮華は黙らざるおれない状態にいた。その放った者以外には、その一瞬の空気に感じる事が無かったようだ。しかし、言葉が止まる蓮華の様子には気付いていたように、続きは?と言わんばかりに、目を向けている。

「マリオネットの技法ですね。心を通わせて、私自身を、Caymへと移り変わる事が出来ます。勿論、姿を変えて動く事も出来ますので、偵察のような物にも最適な所でしょうか、以上です。」

説明を終えて、Romeの頭の中も、また整理する形へと成っていた。使える事は確かな事。しかし、自分で指示をするよりも、蓮華自身が自分の考えで進むやり方の方が、明かに動きが出来るのでは無いか?と云う判断に出された。

他に話を出された内容は、少人数での対策や、基準的な対応の仕方、この屋敷の地図など、大雑把な説明に入る。

「他に聞きたい事が無いなら、解散とするか。それぞれの考え方ってのは、重要なポイントだし、自分には分からない視野の範囲だって事もある。細かい事でも良い、何かあったら、何時でも揃うよーにしとこうな。以上。」





終わった後の数時間立った後の事、この部屋に、白蓮と蓮華の姿だった。白蓮はニッコリと笑って、指を指して舌を出した。蓮華はCaymを召喚し、ゆっくりと白蓮に近付いた。

「危ない所だったね、お兄さん」

Caymの首筋に両手を掲げ、項へと指をクロスにさせて触れる。すると、力を込めてしまえば、びちゃり と音が聞こえ、手の中から、青白く光る、卵ぐらいの大きさの物が、項から現れた。ズルリと肉体は地に落とされて、ぴくりとも動かなく成ってしまった。

「簡単に大切な情報は流さないように。じゃないと、次はアンタの物を取ってしまうかも知れない?」

「生憎、私は物で動いている者ではありません。」

「ま、アンタの場合、物よりも、感情が薄く感じるけどな…?」

「…」

「所で、この器は気に入りだったのかい?綺麗な子を見つけたもんだな。傷一つ無いから、思わず潰したく成った」

転がるCaymの器を踏み付けて、鈍い音を立たせる。蓮華は何も言わずに黙っていた。

「なぁ、何ボーっとしてるんだ?さっさと次の器、探して来いよ。」

無表情のまま、蓮華は一礼をして、闇の中に消えていった。青白く光る玉のような物に付いた液体を綺麗に舐め取りながら、握り締める。

「温かいな、でも、こんなサンプル品よりも、俺はアイツの物が欲しい…今はまだ、泳がせて、楽しんでいたいし」

はぁ、と熱い息を零す。そのアイツと呼ばれる者を想像すると、ドクリと流れ落ちる鼓動と、何かに興奮を覚える。ぶるり、と震えて、地に座り込む。

「嗚呼、…エッチしてぇ……なぁ、アンタ、ちょっと相手、してくれないか?」

その言葉で、気配が消える。相手の心音の高まった一瞬を楽しんだかのように笑うと、ゆっくりと立ち上がり、口端から下唇を舐める。相手の落とし物か、指でその水滴を撫でるように触れて、笑い。よろり、よろりとしているのは最初のうちだけ、逃がさないとばかりに、気配を感じる道に、トントンと小さな鈴の音を立たせて、飛び走る。

息を荒めて、扉を背に預け、呼吸を乱す姿が、此処にあった。心に思うのは追う相手の殺気の強さと、追い掛ける速度の半端の無さに、自分の能力値を計ってしまった。自分の方が、素早さは格段に上だと思っていた甘さが、今に至っている。

「…ゅ……ッ…」

声を出そうとした、この部屋の者の口に、手を被い被せてしまった。目で何かを訴えるように、相手を見ているだろう。頭をコクリと下げれば、手を離し、紙に文字を書き始めた「どうした?」それに返事を書く「追われている」その返事にはコクリと頷き、ベッドへと倒れた。

トントン

扉が叩かれる音がした。空気が更に緊張へと繋がる。ゆっくりと扉に近づく。ベッドに倒れた者もまた、扉へと目を向けた。「はい」と声を掛けて、耳を近付ける。その返答に、安心をしたのか、扉を開かせた。

「おや、一緒でした…

言葉を掛ける姿に落ち着いた色を見せた出迎え人。Romeの背後に居る姿を見た途端に、声を失いそうになるだろう。

「何だ、2人揃って話とか?」

ニヤリと笑いながら、白蓮が言葉をかける。Romeは、出迎えた夢の顔と、突然現れた白蓮の様子を伺い、何かを回すように浮かべ口を開かせた。

「いいえ、3人です。先程の話に出ていました実験室がこの屋敷にはあると聞きまして、紅蓮さんに、先程話を伺いました所、使わせて頂ける許可を貰いましたので、借りる時間帯に付いて、話し終えた所です。」

Romeはたった今、来た所だ。それを終えたと言葉に出した。更に話は続き。

「夢とは一緒の内容の実験がありますので、一緒に使いましょうかと申していた所ですが…何かありましたか?」

白蓮の興奮した様子には、複雑そうな面持ちをRomeは見せて、苦笑を零し続ける。

「まさか、あの子達を襲いに来た訳じゃありませんよね?こんな大事な時にまで、興奮出来るだなんて…クス…」

「そりゃあするだろうな、風呂上がりの香ってもんは、最高に良い臭いがするもんだ…嗚呼、そうだ、さっき風呂に入っていたのは誰だったか知ってる?」

「さぁ?此処で私達は話をしてましたので、他の方ではありませんか?」

後ろ手に、夢と、ひより の居る部屋の扉を閉めてしまい、冷たい表情で笑うRomeの顔には、白蓮もまた、苦笑した。Romeの首元へと手を近付けようとしたが「何です?」と言いながら弾かれてしまい「何でもない」と言葉に出して、その場から白蓮は離れていった。Romeもまた、自分の部屋へと足を進ませて、戻って行く。

「…折角汗を流したのに、またかいてしまいました…お風呂に行きたいですが、行きたくありません…」

「矛盾してるよ…夢」




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あきゅろす。
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