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Trap-4
今現在 この逆十字に飾られた教会の一室を借りている。昔の僕なら、考えられなかった予想だ。紅蓮と睡蓮との、戦争が始まる目前といった所である。頭の整理をするように、記憶をグルグルと浮かべられていた。自分が生まれてから、現在までの事を… ただ、グルグルと。

「…必要性…あったのでしょうか…」

今、自分の力を必要とされている?それは、自分がHomunculus(ホムルンクルス)であるからでは無いだろうか?自分の頭とは違う、Homunculusの力が欲しいのでしょ…?




「羊、話があるから2時に広場まで」

扉が開いた音にすら気付かない。いけない、と頭を横に振って「わかりました」と小さく返事を返す。

頭に浮かぶのは、現在のメンバーの事。

紅蓮
優れた身のこなしと体力を持っている。物理は優れているが、特殊は今一です。パワーを活かせた形に仕込めば、使える駒。

白蓮
身のこなしは紅蓮の三分の一といった所。しかし、それだけあれば十分でしよう。素早さを活かせて、攻撃を食らわせれば、使えない駒ではありませんね。ソロの場合は…

黒蓮
特殊能力が優れている。身のこなしは白蓮よりは下。誰かが援護すれば、凄まじい力とは成りますが、使いにくい駒である事は予測されます。白蓮とのペアで発動させる特殊に関しても、やはり援護が必要と成りますね。ペアでの技が使えれば巨大な力が手に入るのですが。


身のこなしは紅蓮並でしょう。ただ、防御力が優れていない。体力を作らせる事を考え無くては。ひより との幻覚を作り出す能力が出来ても、恐らく、睡蓮の部隊と考えれば、幹部クラスが惑わせるかどうかと言う所ですね。現在、ひよりが力を止められている…無い物と考えれば、惑わせる程度にしか使えませんね。

ひより
現、段階では 最も使えない。せめて、夢見モードの彼なら、問題無く、使えるのですが、現世の彼には…

「こっちですよRomeさん」

既に全員が席に付いていた。ゆっくりとRomeも席に座り、チラリとひよりへと目をやる。咲き誇る頭の蓮に再び目を違う方へと向ける。三男と呼ばれる、突然現れた蓮華の存在だ。

「(自分の力を自ら語るなんて事はしないでしょう…それに、まだ認める事が出来ません…)」

「なぁ蓮華兄、アンタの力ってどんなもん?」

「?!」


さらっ と聞き出す白蓮に、思わずRomeは白蓮の方へと目をやる。白蓮は好奇心旺盛な状態で、蓮華を見ている。黒蓮も興味があるのか、続いて「嗚呼、知りたい」と乗せるだろう。確かに、兄弟とあれば、自分の親戚の能力について、知ろうとするのは、当たり前な事なのかも知れない。逆に、夢やRomeの様子は複雑な面持ちであろうと思ったが。

「もし、宜しければ、私も蓮華様の能力を御聞きしたくあります」

夢にもそんな様子は無かった。考え過ぎていた自分が馬鹿らしくなり、溜息一つに、蓮華へと目をやり、コクリとRomeも頭を下げた。

「そうですね、皆様の能力を知っていての上に、私自身が語らないのは失礼に値いたしますね」

この言葉に、誰もが疑問を浮かべるだろう。紅蓮が既に、蓮華へと、全員の能力を言った事になるのか?いや、無い。ひより と夢の力を紅蓮は知らない。と、すれば白蓮が蓮華へと情報を回したのか?それも、先程の質問を白蓮がした事により、変に思われる。例え演技での二人での会話であったとしても、わざわざ 繰り出さ無くても良い物だ。

「失礼しました」

パチンと指を鳴らすと、蓮華の横には真っ黒で翼の生えた、大きな一つの瞳を持つ生き物が現れた。

「この子は、人の力を見抜く事が出来る子、Envy(エンヴィー)です。」

「悪趣味なセンスは相変わらずって所か蓮華」

「紅蓮兄さん程、勘が私は鋭くありませんので。的確に相手を知り、掴み取ろうとするのが私のポリシーです」

現れたその物を見つめて、Romeは何となくではあるが、能力を既に頭へと浮かばせた。恐らくは使い魔を操る事の出来る、マスターの値にいる存在。しかし、baphomet(バフォメット)とは、本来ならば、使われる側の存在では無いのだろうか?と考える。そして、次には「ハーフ」と浮かんだ。「悪魔」なら、出来るかも知れない、完全なる巨大なものは召喚出来なくとも。

「御名答。流石は頭の優れたお方ですね。」

考えが、筒抜けの状態とすれば、先程まで考えていた事にすら、蓮華には気付かれている事になる。いや、この感覚は、アイツにも似ている。そう、ひよりだ。彼は、魔を使わなくとも、頭の中に浮かび出す事が出来る。現在は封印状態ではあるが。

「続けますね。私の使い魔は全部で4匹です。今は具現化された姿で縮小された姿ではあるのですが…Envyはウィッチ(魔女)、そして気まぐれですので現れる事も気まぐれ。特殊タイプです。先程も申しましたが、相手の能力を知る事が出来ます。」

そう言った側から、姿を眩ませていなくなってしまった。次にパチリと指を鳴らせると、真っ黒な被り物にランタンを持って現れた小さな鼠が現れた。

「ネクロマンサーのShadow(シャドー)この子も、現在は縮小された姿でございます。力とすれば…死霊魔術…徨う魂を扱うと言った所でしょうか。主に、仕事関連で使っている子ですので、戦力には欠けるかと思います」

パチリ、再び指を鳴らすと、姿を消して、次に現れたのは真っ白で赤い蛇。そろり、と夢に近付き擦り寄り、ひよりへと見つめている。


「白蛇のAre(アーラ)蛇に睨まれれば、石になると言われるメドューサと違い、状態異常を回復させる能力があります。大きな力や封印といった物以外は、大体、この縮小サイズで治す事が可能です。」

ピクリと ひよりは「異常回復」の言葉に反応をしめす。そっと、その蛇を掴み、じーっと見つめて、頭に近付けた。Romeは思わず、ひよりの手を掴み、蛇を離させた。

「…Romeっ」

「君は何も分かっていない!この華を与えたLunaticの意味を理解出来ての行動ですか?!」

「…」

蓮華は首を傾げて、指を鳴らせた。すれば蛇は消えて、次に現れたのは雀サイズの鴉。

「その力は、本来の姿であるAreでも、難しいかも知れませんね。大天使ミカエルの教え子の一人、Lunatic…狂った人間を意味する、今や天使界での長とありましては…」

不穏な空気の中、鴉だけが 可笑しく笑うように声を上げた。



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あきゅろす。
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