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Trap-3

「それにしても、早かったな」

風呂場には優しい香が漂う。その原因は、蓮華と呼ばれる存在の特殊能力が出されて、風呂に浸かる、水に触れる事により、花を一面に咲かせると言う力を持っている事が原因。花を咲かせた様子には、夢が興奮の色を隠せれ無いでいた。夢の趣味はガーデニング、心に興奮を齎せて笑う姿に、珍しいと、ひよりは目を向けていた。

「紅蓮様の命令とあらば、どんな事でもキャンセルに」

「此処では兄貴って呼んでくれね?」

「…」

嗚呼、やはりそうか。と言わんばかりに、双子の白蓮と黒蓮は、二人並んで蓮華に目を向けている。言葉も無く、ただ、初めて会う、荒くれ者の兄弟に、どうもイメージを植え付けられてか、距離を感じる。話しに聞く、荒くれ者には見えないのがまた、不思議にも思えて。

「…牢獄から出て大分と立つな。性格も、容態も変わった…昔とは考えられないぐらいにな」

「兄様、それは…」

複雑そうな顔をする蓮華に、グシャグシャと髪を撫でる紅蓮。そして、双子に目を向けて、こっちに来いと言わんばかりに手招きをするだろう。はぁー っと溜息を付きながら顔を見合わせ、双子は近付く。

「白蓮様と黒蓮様ですね。話は紅蓮様から聞いております。私の名前は蓮華、三男に当たるbaphometの血筋が入った一人です」

「嗚呼、俺もアンタの話はうっすらと聞いてるぜ?中々に、やんちゃな事してたってな」

ズバリと言葉を下す白蓮に、蓮華は困ったような表情で笑い、湯に浮かぶ花を掴む。そして、口元にあてれば、その花は泡となり浮かび上がる。

「やんちゃで済まされれば良いのですが。きっと、お二方が悪戯されてきた事等、可愛げがあるように思うでしょうね」

浮かぶ泡の様子を黒蓮は眺めて、その泡を掴み割る。すれば、大きな音が、風呂場に響き渡り、baphomet以外の物は耳を塞ぐだろう。キーンっとした音が、ジワジワと耳に入り込み、Romeは泡に目をやる。

「…」

紅蓮は黒蓮の手を掴み、指を絡ませてニッコリと笑った。しかし、黒蓮は手を払いのけて、紅蓮へと目をやるだろう。白蓮にしてみれば、どうでも良くて、話が進む。

「で、悪魔と山羊(baphomet)とのハーフって本当の事かい?」

「見てみますか?…後で」

チラリ、ひより に目を向けて、此処では見せられないと白蓮に申すように示す。構わないさと首を横に振り、蓮華へと更に近付き、背中の中心に指を添えた。ビクリと反応し、「何か?」と目を向ける蓮華、その様子に、ハハッと笑いながら、背骨を撫でる。

「アンタが来てくれて良かったよ。華やかさが欠けるメンバーになると思っていたからな」

バシャ !!

水面に更に花が増えるだろう。そして、離して欲しいと言わんばかりに、白蓮から遠退こうとするが、白蓮も離れる事は無い。そのまま、背中から手を離す事は無く、次には掴み掛かろうとする。紅蓮は「若いなぁ」と一声出して、湯から上がる。黒蓮も紅蓮に連れられるように上がり、白蓮へと目を向ける。

「私なら、あんなやり方で、接触を計ろうとしない」

グシャグシャと黒蓮の頭を紅蓮は撫でてやり、次は黒蓮が紅蓮の腕を掴んだ。その力は強く、紅蓮がケラッとした笑みを返すような物だ。そう、黒蓮は、白蓮のそんな性格に嫉妬をしているのかも知れない。風呂場が騒がしくなった事から、Romeも一足先に風呂場から出ていて、服に腕を通していた。ひより と夢はマイペースに体を洗っていて。

「…なぁ、何で此処で見せてくれないの?やっぱ、主人の前では、本来の姿が見せられない訳?そー言う小さい考えって、凄く嫌いなんだよ」

器が小さいのは白蓮の方だと思うのは、回りの考えである。しかし、興味心身に、白蓮が蓮華から離れる事が無く、押さえ付けている様子には、紅蓮も「馬鹿にしか見えない」と呆れた様子。

「安心してよ、何度もRoaの本来の姿は見たことがあるから」

ひより がポツリと呟く。それには、白蓮がピタリと行動を止める。ひより が近付いて来て、蓮華の髪をグシャリと握り締めて、撫でるだろう。そして、やわり とした表情を見せる ひより に、目をゆっくりと瞑り、水面に大きな金色の羽が、現れる。それも 翼は 片方だけ。左右にある筈の もう一つが見つからない。

「…アンタ、翼が」

翼だけでは無い、角、耳も半身が違う形にある。スッと蓮華が目に指をあてると、瞳もオッドアイの姿で現れた。

「俺に、この姿を見せるのにも、凄く時間が掛かった。気持ち悪いと、Roaが自分自身を攻めていたから。だけど、こんなに綺麗な生き物を、僕は見たことが無いと思ったよ。まるで…キメラのようで、でも美しい羽があって…きっと、上級の天使なんだろうなっとも思ってたぐらいだ」

高い位の天使や悪魔程、化け物だと言う説はよくある話だ。ハハッと笑いながら、白蓮はひよりの頬に手を伸ばして、ひたひたと触れるだろう。それを払いのける事も無く、ひよりは見詰めている。

「こいつは化け物だよ」

頬から髪に、グシャリと握り閉めて引き寄せる。拒否をしない蓮華は、ただ、黙っていた。主がどの姿に成ろうが、手出ししない事が良い証拠だ。



「そう、彼は化け物です。崇拝する事も、祈る事も、何かを信じる物も全て拒否をした。生死の問題なんて苦では無い。狭間に突き出し、大切な物を食べてしまう悪魔の血が宿っている」

シンクロと言うのは恐ろしく出ている。風呂場の現場を見ずに、黒蓮が つらつら と勝手に口走る。紅蓮とRomeしかいない、この場所で。続いて、壁を挟む場所で白蓮が続くように口にする。

「うずうずしてるんだろう?最高の味が染みる時の、魂を口にする瞬間をさ?この主にだって、そう思って接しているんだろ?」

「…ありません…」

「ハ、低い位置に成ったもんだな…良いんだぜ?俺は好きだから、アンタみたいな、獣らしい、純粋な行動」

するり、ひより の髪から手は抜けて、蓮華の頭に掴み掛かり、浴槽に沈めてゆく。ブクブクと呼吸する分の泡が回りの華に振動させて、華が泡となり浮き上がる。触れたらまた、あの馬鹿でかい音が鳴るのは知っての事。

「一気にこの泡を割っちまったら、少なくとも俺等は脳震盪、何人かはショックで死んじまうって世界だ。さて…紅蓮は、こんな危険で処理が難しい奴を連れて来て、何を考えていると思う黒蓮?」

−−−−−−


「さぁ、私にも分かりませんよ。ただ、面白そうに、兄貴は笑ってるよ。気持ち悪いぐらいに、息子を立たせてね。興奮で、こっちも立つって所が気持ち悪いよ。」


−−−−−−

「嗚呼、とんだ下手物だな」


沈む姿は無くなる。それは、浴槽のお湯が、全て華に成った姿が見えるからだ。嗚呼、なんて綺麗な世界だと、蓮の華を握り締める白蓮。華は風呂場の全てに根を張って、この空間を風呂場と言えぬ世界にする。押さえた手にすら、何の緩みも無い。蓮華は小さく呟く。

「裏切りません…絶対に」



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