Trap-2
沈黙を走らせたのは、Romeと白蓮とて同じ事だ。取り方の違いは、4人それぞれ違うかも知れないが。案内をして、その後には休む物だと思っていた白蓮からすれば、この現状に言葉が止まり、続けるにも続かない状態。対するRomeは、白蓮に、退いて下さいと言わんばかりに目を向けて。
「…」
初対面にも関わらずに、ひよりと黒蓮は顔を見合わせ、扉を閉めてしまうだろう。それには、白蓮は、慌てるように扉に行き、大きく開かせた。そこにはもう二人の姿は無い… 訳が無い。開かせた側の、扉の端に座り込み、二人は黙っていた。グシャリと髪を上げて掴み、溜息を混じらせて、二人を見ると、黒蓮が口を開かせた。
「終ったら声をかけて」
「用件はなんだ?」
「兄貴が皆で風呂にでもどうと」
「風呂…いいね、それなら丁度汗を流して楽しんだ後に良い具合で……所で黒(こく)は、いつから、ひよこと仲良くなったんだ?」
繋ぐ手を見て、ヘラっと笑う白蓮の様子に、黒蓮は視線を手を見て「嗚呼」と言いながら離すだろう。ひよりは眠たそうに欠伸をしており、次に聞こえるのはRomeの声。
「行きますよ」
その声に、ひよりはゆっくりと起き上がり、先に進み去ってしまう。白蓮は苦笑を零して、黒蓮はしれっとした顔で、ひよりに続くように足を進ませる。「あのさ、羊っ」と声を掛ける物も虚しく、続いてRomeも行ってしまう。御手上げな様子を見せて、溜息を吐いては、間を空けて、白蓮も進む。
* * * *
一方の風呂場、紅蓮と夢はと言うと…
露出を高めて、肌に触れる先々への反応を確かめるように楽しみ、色声にも耳を傾けた。耳元にポツリと呟く紅蓮の言葉に、夢は口元に笑みを刻んだ。そして、紅蓮が一気に間を空けるだろう。後少し触れていたら、猛毒の針が、紅蓮の喉に突き刺さっていたかも知れない。脚に仕込む、細い針に。
「で、その下手な仕込みは誰に教わった?嗚呼、毒じゃなくて、色気、ね」
「……」
ピシャリ …
「僕だけど何か?」
風呂場の扉を開かせて、入って来たのは ひよりだった。続いて、黒蓮、Romeと入って来る。欠伸をしながら、ひより は夢に近付いて、首筋から肩のラインを撫で下げて、ツー…っと首筋を舐め上げる。崩れ落ちるように夢は反応を見せて、声を殺す。その様子に紅蓮は、キョトリとした顔をするだろう。先程の自分が与えた感度より、自然体でいて、色が見えるようにも見える。
「へぇ、…ツボを知ってるって訳?」
「そんな低調な物じゃない」
待って、と夢が言葉をするのも、焦り以外の物には見えない。それだけに、反応や余裕が無い事が分かる。首を横に振り、ひよりの手を掴み、止めようとすれば、「何?」と、ひより は言葉で返事を返した。
ガラガラガラ
黒蓮とRomeは、興味が無いように、風呂へと先に入って行ってしまう。
「ねぇお兄さん、アンタもさ、風呂行ってくれないかな?この先見てても良いけど…夢のプライドとか、傷付けたら可哀相だと思うんだよ…」
まるで他人事。言葉を発していながらも、柔らかな胸に手をあてて、やわやわと揉んでいる。指股に入り込む小さな果実は既に立ち上がり、ピクリと反応を示す。それに堪える姿がまた、ひよりに火を付ける。
「我慢してたら、余計に…」
膝で己へと擦り、目尻から流れる涙を見れば、ハハッ… と小さく笑う。見せ付けられてる気持ちとなれば、紅蓮も呆れたように風呂場へと足を進めた。
ガラガラガラ
最後に入ってきた白蓮は、ブツブツと言葉を口にしながら、着物が既に脱げた状態で入って来る。タオルを巻いて、そのまま二人の様子を見ずに、風呂場へと進み、その光景を見て、うっ … と口を押さえた。
「…華やかさがねぇぜ」
「…馬鹿かお前は、華なんか咲いてたら、この風呂すらピンクに仕上がるっての」
「俺が言いたいのはっ」
Roa!!
背後から、ひよりが、誰かの名前を呼ぶ声が聞こえて、白蓮の言葉に繋がりが消された。白蓮が振り返れば、白髪から桃色に流れるような髪色に、金色の瞳、自分よりは、少々身長もあり、歪な形をした燕尾服であるが、しっかりと身に包む姿で現れた者が立っている。「誰?」と白蓮が言葉をするのも虚しく、ひよりの言葉で消された。
「何故、此処にいる?」
いつもよりも、ひよりの言葉が淡々としている。Roaは ひより を見つめて、立て膝を付いて、視線を落とす。
「坊ちゃん、こんな所におられましたか…運命、必然と言うべきならば…」
「…ひよりで良いって、いつも言ってるだろうRoa。何故、貴…、アンタが此処にいる?」
「俺が呼んだからだ」
ザッパっ と、風呂に肩まで沈めて、扉の方に目を向けているのは紅蓮。口元ペロリと舐めれば、はぁ ーっと熱い息を漏らせて笑う。兄貴の知り合いか、と思いながら、黒蓮は髪を洗っている最中。白蓮もまた、体を湯で流している。そして
「紅蓮様…」
「どうした、蓮華」
名前を呼び合うと、黒蓮と白蓮の動きは止まる。そして、黙っていたRomeは、深く湯に浸かり、目を細ませた。
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