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strategy meeting-7

… 作られてしまう

14を過ぎれば、この真っ黒な教会に出入りする事が許される。当時の俺達は、親父を受け継いで、この、生々しい世界に浸る何て事は考えられなかった。

… 私の、意志無く…

教会だけでは無い。食後に見せられた光景は、一桁の物心付いた時から見てきた。泣き叫ぶ女を見て、親父が、欲求と呼ぶ白い白濁を吐き終えても、女を逃がさない。終わったとしても、狂いきった目をした状態から立ち上がる迄の時間何て与えやしない。起き上がればまた、足首を掴んで、胸の中に納めると言う繰り返し。

…私は…

時計の針が24時を指した。睡蓮兄貴の14つ目の歳が来る。祝いと同時に、親父が兄貴の腕を掴み、漆黒の扉を開かせた。
兄貴は14つ目の歳を取るのを嫌がっていた。透き通るような美しい、凜とした顔をして、どんな事に対しても冷静でいて、頭の回転が早い偉い人、睡蓮。「欲求を曝し上げて、見せびらかすような姿、綺麗な物には見えない」そう、言葉を出した事により、過去の食卓では、親父と兄貴で荒れた事を、よく覚えている。こんな場所、潰れてしまえばいい…そう、思っていたのは、俺も同じ事。

「お父様」

足を止めて、親父が兄貴に目をやり、軽々と抱き上げる。連れていかれる、そう思っていた。しかし、親父は兄貴には優しく、接するだろう。あの荒れた食卓も、親父がただ、荒れているだけで、兄貴自身はスープを口にしていたぐらいに兄貴の性格は胆が座っている。

「お前は後継者となるからな、話を聞いてやろうか」

漆黒の扉をくぐり抜けて、数時間の時を刻む。落ち着きが無かった。その扉の前を、うろうろとし、時計を見る。その繰り返し、5回目の時計の音を聞いて、兄貴は一人でに、戻ってきた。

「兄…貴…」

脚股から流れる赤色の一つの線。色白い肌にはよく目立っていた。扉を抜けて、そのままパタリと倒れ落ちる姿に、胸が熱く発した。

「…ぁ、…あ、あ、あっ!!!」

「待って」そう口にする兄貴の声は扉が閉まる音と同時に消されてしまった。その後に笑った顔をした兄貴の姿等、見えてやしない。まだ12つもいかぬ自分が、この荒れ狂う声にも目を向けずに、ただ、一つの場所へと走り抜ける。

「睡蓮か」

「…はぁ、はぁ、親父…」

背中越しの父親。腰に提げた深紅のナイフを両手に構え、一気に攻め込む。呆気も無く、それは摺り抜けられ、顔を合わせた時、息を飲んだ。

「親…父…っ!?」

なんて顔をしているんだ!顔が、酷く変形している。俺を睡蓮と勘違いし、こちらに唸りながら近付いて来るだろう。足が、進まない。動け、動け、動け!そう念じる事も虚しく、捕まってしまう。

「さぁ、お前の理性を試させて貰おうか」

親父は目が見えていなかった。手探りに、服を引き剥がし、露となった胸を大胆に撫であげる。大きな手には、この小さな体に簡単に捕われてしまい「やめろ」と言う紅蓮の声に、塞がりかけた唇を吊り上げて笑う。何故、こんな醜い顔に、父親が成っているのか。そう考える余裕が、中心を弄られて仕舞えば、意識が変わってしまう。睡蓮と、遊びのような経験は、過去にした事がある。しかし、不慣れな手つきと、今、触れられている物とは全くの別物と考えても良い。“熱い”体全体が、苦しく感じる。声を上げる事等、自分のプライドに変えても出来やしない。ギリリと唇を噛みしめる。しかし、反応を記す場所は敏感に高まり、呆気なく、果ててしまう。



は … はぁ はぁ っ

「睡蓮…」

手の中に果てた物に何を感じたのか、気持ち悪い笑みを向けている。勘違いをし、まだ、自分を睡蓮と呼ぶ。「違う!」そう口にするのも途絶え、再び高まりを増させられる。顔を近付ける父親に、微かに香る…

「 … っ… (硫酸?) 」

一体誰に?誰かが嫌がる睡蓮を思い、父親へと打ち掛けて睡蓮を助け出したのか。そう頭に浮かびはする物の、辺りを見る限りでは、今のこの状態を、涎を垂らして見る連中ばかりにも見える。再び、己から白濁を流し、体に力が無くなり「やめろ」と叫ぶ声も、もう出なくなってきた。抵抗するだけ、周りの犬は悦ぶようにも見える。これが、14つの歳を越えて見る光景だと思えば、あまりにも 今まで生きてきた事が真面目だと思ってしまう。

あ゙ っ ! !

何かが入り込む。異物しか吐き出さないような、その場所に、深く突き上げられるようなそんな違和感。しかし、痛みの半面、ヵ所に感じる処に、甘声を零した自分に、思わず口を押さえた。こんな場所に触れられていると言うのに、己をまた反応させているのか?異常だと思ってしまう。。怒れているのは、自分自身では無いのかと思う程に。

ま て …

脚を開かされ、目の前に見えるのは、崩れた父親の顔と、その部分から感じる、先程と比べものに成らない程の違和感を感じた。一気に、近付く顔と同時に、まるでナイフを刺されたような気持ちとなる。背が浮き、足を暴れるように動かせ、逃れようとする。しかし、両手で脚を押さえられたとすれば、身動きが取れない。

… は っ な に、 こ … れ

両目から、無意識に零れる透明の液体。痛みと、何かに熱を帯びる。更にそこから、体を揺さぶり、深く差し込まれる。理性を保つ所か、何かがプツリと切れたような…













水滴の音、優しい歌声が聞こえる。嗚呼、兄貴の声だ、綺麗だな、何処で歌ってるんだ?…。あれ… ちっとも体が動かない。

ピンヒールの音が聞こえる、こちらに近付いて来る。俺らを狙う刺客だとすれば、太刀打ちなんて今の自分には出来やしない。

目だけを微かに上に向けた。そこにいたのは兄貴だった。真っ黒なマントを羽織る兄貴を見て、どうしたの?と掠れた声で聞いてみる。綺麗な兄貴には、似合わない、真っ黒なマント。そう、親父が羽織っていたマントじゃないか。

「今日から私が、此処の教皇だから」

起き上がろうとする。グラリと視界が気持ち悪く揺れる。腰の痛みが、酷く頭痛へと響いた。手探りに服を探そうとする。何かに触れた。髪のような物。それを掴み、歪む視界から間近に見る。それは、崩れた顔の生首だった。

「汚れますよ、紅蓮」

「…嗚呼…」

そっと、その生首を置いて、睡蓮に目を向ける。大きな窓の光をバックに移る睡蓮の姿は、神々しく、だけど変に似合わない。コチラを見てニッコリと微笑む姿が、今日は綺麗なんかじゃない。

「…俺、もしかして無駄足だった?」

「兄思いの、良い弟だと思いました。貴方が身替わりに儀式をしたお蔭で、私は、この地異に立っているのだから。後は、自分から…」

言っている意味が分からなかった。後から気付いた事とすれば、兄貴は、この儀式に受けずにいたと言う事。俺が、兄貴の変わりに儀式上の「睡蓮」であったと言う事になる。別に、兄貴がそれで良いなら俺は良かった。しかし…。
スっ…と、転がるナイフを手に取り、紅蓮に近付いて来る。降り懸かるような、そんな気がした。頭上の一歩手前で、ピタリと止まる。コチラに人が近付いて来る様子が無かったら、もしかしたら…俺は…

「その赤子は…?」

俺達に似た姿をしている。一人は白く、一人は黒く。抱えて寄ってきた、マザーコンピューター 通称、世界のあらゆる情報を知る者、ラピスラズリが、頭をゆっくりと下げて一礼をする。

「亡くなった“蓮”の遺言を申し上げます。」

「遺言…?」

ラピスラズリの目の色が様々な色に変化し、その場に転がる頭主の声が、ラピスラズリの口から出された。

-5人の可愛い息子に継ぐ-
・長男 睡蓮:白蓮、黒蓮が14を刻む時 王の座を譲る事、以降、二人の全ての言葉を受け入れ、行動しなさい。
・次男 紅蓮:白蓮と黒蓮の14の儀式である式に神官とし光を齎せる事。
・三男 蓮華:14を刻む時 牢獄から出ても良い。しかし、紅蓮の命に従う事。
四男 及び 五男 白蓮・黒蓮:この教会に 何時までも光を与え続けるように。

・誰一人と欠ける事の無いように、蓮の華を咲かせる華に成りなさい。

出来ぬ場合、お前達に眠るマテマリットは消滅する。


『マテマリット…』

カシャン… ナイフが落ちた音が、ガラリとしたこの場所に響かせた。睡蓮が狂ったように笑う声が、忘れられない。今、現代に至り、これが 全てを起こした切っ掛けだったのかも知れない。親父が残した遺書に書かれた意味を簡単に略すと【必要とされている者は、この双子の赤子】だと言う事になる。そして【マテマリット】それは…兄貴が知ってるかのように笑った意味があるのだろう。そして、その【マテマリット】に怯えて、俺達に手を出す事が出来ないでいる…。美しく凜とした睡蓮の姿はもう、此処にはいない。






「睡蓮兄さんはどうして、教会が欲しかったのかな?」

「この教会を、兄貴が欲していたと言う事に…なるのかどうかわ分からない、いや違う…本当はもっと…。何の為に、欲していたのか、それが分かれば…」

「…うー、ん」

ま、今、この戦争を起こした意味とは「マテマリット」の意味に翻弄される自分が馬鹿馬鹿しくなったのだろう。ただの脅しと取っての行動に過ぎないと言う事。その割には、あのHomunculus(Rome)に熱中している。恐れを帯びて、戦うようでは、勝ち目等無い。そう考える紅蓮には、少々余裕が見えていた。

「考えても仕方がねぇな、さて、飯でも行って、隊形を考えようか黒(コク)」

「うん」

突き止める為には、ボスにチェックメイトを与える事。賢い相手だからこそ、やり甲斐がある。でも、逃げてばかりだと、足元が留守となるって事を分からせてあげないと。ほら、俺って 兄貴思いだから。




- Next/09/07/12更新




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