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strategy meeting-4

「じゃあ、戦力高めて乗り込むよりも、相手側を待つ方向で考えようか」

Lunaticの力を与えられて数日が経過した。ひより は普通の生活を送り、こうやって、Romeと作戦を練っている。白蓮や夢はずっと、Noirの元で修業を積んでいる最中である。片割れのLunaticは、Romeとひより との方で、作戦やアドバイスを与えている。そんなLunaticを見て、時々思う違和感を、Romeは感じ出していた。

「…」

「Rome?ちゃんと話聞いてる?」

「えぇ…」




浮かぶ事は、まだ 彼と出会っていない時の話に遡る。






「中々、似合ってるんじゃありませんか」

そわそわとした、落ち着きの無い態度が、初々しいと思いながら、ネクタイを結ばせ、眺めている。

「…あの、Rome様」

口に指を添えて宛がわれれば、夢が小さく漏らせた声が消える。その夢の様子を見て、Velmaはクスクスと笑い。戸惑う夢に、くしゃりと頭を撫でてやった。

「Rome…」

それで良い、と一つ頷いて、ニッコリと微笑み、一息入れれば、Romeは立ち上がり、鞄を持つ。

「それにしても、夢も入学する事が出来るなんて、何か策があったのですか?」

Velmaの一言に、Romeは薄く笑い、次には声に出して笑うだろう。それには、二人ともが引き気味になるだろう。

「この僕が、入学の許可を貰えないと思いますか?「いえ、夢の話です、帰ってきて、まだ一週間、何故、受験もせずに通る事が出来」…簡単な事ですよ」

得意げな微笑と、クルリと振り返る時の満面な笑みには、聞かない方が仏だと思ってしまう。「いや、いいです」とVelmaがRomeの言いだしの前に止めて、研究所の出入口まで押して行く。

「聞かなくて良かったのですか?」


一歩二歩と歩いて、再び振り返れば、そう言葉をし、Velmaは後で良いよと言い、二人を見送る。「聞かないけど」と、後から二人が見えなく成った後に呟くのは聞こえない。









夢が帰って来た夜の事、あらゆる成長を果たしていた夢の姿を見て、二人は口を紡いだ。同時にRomeが、『つまらない』と思った物もあったのでは無いだろうか。その結果『崩したくなる』と口に出して、夢から眼を離さずに、ずっと眺めている。洞察力、真面目な性格、体型…全て合格。

「さあ、仕上げに取り掛かりましょうか」





『耐えなさい』

Romeは一言そう言った。帰ってきたばかりの夢を診察台の上に連れて、糸一つ絡ませる事無く、両手両足を繋ぎ、裸体と化させる。

「帰ってきて早々、その挨拶はまずい気がしますよRome。夢が…」

脅えていると口に出そうとしたが、そんな様子は無かった。凜っとした顔立ちで、Romeを見ており、抵抗無く、ただ黙っている。

「利口な選択です」

真っ白な体に触れる真っ白な手。ピクリと動く体の反応には、逃す事は無い。愛撫を重ねて、体を震わす部分に、何度も愛でてあげる。奮え糾す夢の姿に、Velmaは眼を背けて、「複雑」と呟く。

「大きな仕事を任せた場合。スパイとは、どんな事にも、盗みだし、聞き出さ無ければ成りません。相手を騙し、色気と、声とで、得るのが無難です。ただ、ぶっきらぼうに、ニコニコしていて、情報を得る事は出来ません。危機感を相手に与える前に、安心感を覚えさせ、信頼させる。それがプロって物です。わかりますか?」

聞ける訳が無い。トロリとした瞳で、Romeの与える愛撫を受け、声を耐えてはいるが、体を反応させ、余裕を無くしている状態であるのだから。ふと、Velmaが、Romeの机に眼をやり、大量に重ねてある、スパイの極意についての本を、目にするだろう。何も言えずに、ぽかーん とし、一冊を手に取り、読み出している。

「今日は此処までにしておきましょう」




あれから毎晩のように、夢に対しての、調教が行われた。始めと比べれば、随分と声色も良く成っている。涙もろく、壊れかけた状態な表情をして、淫らに鳴く。

「弱点は少なくしなければ、悦ぶだけの体に成ってしまいます。今の表情と声とを出しては良いですが、心は平常心でいなさい。いつ、相手が、答えを盗み出せるか分かりませんからね」


無茶苦茶だ。体は正直に反応を示すもの。欲求を耐える事が出来てしまえば、ただのダッチドールも同然。感情の無い人形を作り上げてしまい、何の面白みがあるのだろうか。

「だけど、君が、本当に愛するべき人が現れたと思った時。これを崩す事が自然と出来るのでしょうね。偽りだからこそ、我慢が必要だと言う事を覚えなさい。これは、秘策です、あくまでもね」




調教後、夢の体を拭く事がVelmaの仕事のように成ったのが当たり前に成ってきた。行動を済ませた後に、Romeは素っ気なく、自分の部屋に篭ってしまうのだから。
隅々まで拭いてやり、夢と会話をするのが、この時間ぐらいの物であろうか。

「辛くないの?」

「辛く、ありません」

「まあ、暴力とは違うから、まだましか」

「だけど」

「ん?」

「私は、この好意の意味が分かりません。気持ちが良い、だけど、裸をさらけ出して、辱められるような気持ちと、それと吐き出す物の恍惚。これは…私を悦ばせる為の物ですか?それとも、また違った何か…」

夢は、恋愛と言う物を知らない。知らなくて当然であろう。半年たって、此処に帰ってき来たと言うのが、その証拠だ。この事が、何を指す意味すら分からないのも当然。それを教えてしまえば、どうなるのか とVelmaは悩んだ。教えてしまえば、それこそ、ただの人形に成ってしまう気がするから。









「夢を学校に行かせた理由?そんな物、仕事に使う為の練習場としての活用に決まってるじゃありませんか。言わなくとも、あの努力家です。やっている事でしょう」

相変わらず、ドス黒い事を考えていたRomeに、やはりか と言わんばかりの溜息を吐き出す。

「それで、学校はどうです?」

「僕のイメージとは異なりました。そろそろ辞めようかと思います。」

入ってまだ、一ヶ月も立っていない。科学と言う分野に入り、ただ やっている物の、先生よりも優れた頭故に、どうやら楽しみが無くなりつつあるようだ。何時しか 夢だけが学校に行く事になる。Romeは、研究所に篭り、ある時、フと何かを口に出した。

「Mtgmdapt5wmj8hmtjp3wadm」

Velmaに目を向けて、これはどんな意味でしたか?と尋ねる。分かる訳が無いと言わないばかりに笑って、どこで それを耳にしたんだ?と問い掛けると「学校」と返して来た。次には姿は無く、目で次に見たのは、制服を着たRomeの姿だった。「いってらっしゃい」と笑いながら出送る。思い立ったら行動するのは、今に始まった事じゃない。




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あきゅろす。
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