[携帯モード] [URL送信]
baphomet...B




「あ、ら、誰かと思えば、蓮一族の坊じゃないか。今日はデビュー初日かい?に、してはまだ早いんじゃな… …ああ、そう言うことか」

手に持つ、もう一人へと眼を向ければ、納得するような言葉を吐き出し、怯えるもう一人の小さく細い腕を掴み、立ち上がらせた。

「折角のおべべが大無しだね…さあ、行くよ?君達のお兄さんがいる所に、連れていってあげるよ。」

… …





あ … あ、 確か … この後…


暗がりの部屋より眼を屡とさせて、一点を眺めている。
夢から覚めた、瞬間だった。

寝返りを打つ…眼をパチクリと一度させれば、んー…?っと一声。
隣に眠っていた筈の片割れが見当たらないんだ。眠たそうな顔をしながら、ゆっくりと起き上がれば、眼を擦る。

「…… …」

欠伸を一つし、口を押さえると、両耳の白い耳をピクピクと動かせる。
寝床から、離れ際、着物を片手に、引きずりながら、窓に近づき、空を眺める。
片手で長い白髪を掻き上げて、ふと、眼を細め、窓に写る自分の首筋の赤い花に眼をやり、ニンマリと笑みを浮かべれば、着物へと腕を通した。
自分と片割れだけが知る、この傷痕の意味。

扉が開かれる。振り向くことも無く、着替えを続けた。口元に紐を咥えながら、裾を捲り上げて、瞳を閉じる。
扉を開けた相手は、真っ黒な着物に、紫と深い赤色を彩る蝶が舞った装備をきっちりと着こなしている。

「おはよう 白蓮(はくれん)相変わらず、だね、君は…」

まるで、当たり前のように白蓮の側へしゃがみ込めば、着崩れした着物を手早く整えて行き、その様子を見つめながら自分は、髪を整え、眠たそうに言葉を返した。

「それより何処ほっつき回ってたんだ?」

「嗚呼、睡蓮(すいれん)兄さんに呼ばれてね」

「あー…?ん、で?」

「…BlackMisaを任せられ…」

一呼吸の間で、察しは付いていた筈だ、こうなる事を。凄い威圧が、黒蓮の口を塞いだ。真っ赤な瞳を、ゆっくりと上げれば、そこに同じ瞳色の視点が合わさる。苦笑しながらも、着物を整えて行き、最後に白蓮を、椅子に座らせ、立て膝を付いた。

「白蓮、聞く耳持たないかも知れないが、これだけは分かってはくれな…」

「嗚呼、そうかい、じゃあアンタは、どっかの野郎と、神父(自分)を汚した気でもなって、それに興奮でもして立たせて…「白蓮!!」…は っ はははっ 」

深く頭を下げた、その辛そうな笑い方と、表情、気持ちだって、手に取るように分かる。次に手を触れさせようとすれば、跳ねられる事も分かっている。しかし、その手は差し延べられ、その通り退けられた。
そして、先程まで味わっていた夢儀心地を思い出す。


「夢って恐いもんだな…」


その後 … 確か …



next→



NEXT→

3/6ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!