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Angel-5

感情移入しない、そんな彼だからこそ、そう…、全てを夢に、与えたのかも知れない。ただの思い込みである「運命」だとか、そんな物だけのイメージだけで、事(実験)を進めた、開始した私(Rome)も、何かに、意地に成ってしまったのかも知れない。ひよりが向ける目が、真っ黒の蝶が去った後でも向けられていたからかも知れない。

「そして君は、力を手に入れました。夢師としての、優位に使える力を」

「換わりに、犠牲者が出ました。全く知らない「誰(ひより)」かが、…犠牲者に」

口を緩めて、黒髪に指を絡めさせ、しっかりと握れば、コチラに引き寄せる。強い、「憎い」に似たように見える感情を心に出して。

「私を憎みますか夢」

「いいえ」

「憎んでいるのは貴方ですよ…Rome様」そう、聞こえたような気がした。優しく被さる手に、苛立ってか、髪を引っ張りながら、振りほどく。夢の表情は変わらず、そのまま床に落とされた。再び髪を掴まれ、顔を上げさせる。

「ごめんなさい」

彼(夢)が謝っても意味が無い。謝る意味が無いのだから。













「馬鹿ですね貴方。先程の説明を聞いておいて「だって、俺等には分からないからパラレルワールドが存在するんだぜ?絶対、あっち(夢)の世界は、誰も知らない未知の領域が隠されてて、科学すら発見されない、凄い物を……Rome?」

俺の腕を掴む手は震えていた。小さく「行かないで」と言う声も聞こえたような気がする。だけど、何故か俺は、行かなければ成らない気がした。夢と話しをしたのは、たった、さっきの一瞬だけだと言うのに、どうして 此処まで、気になってしまうのか。

「Rome、ごめん、行かなきゃ」

「どうして君は!?「運命、だからさ」…っ、また貴方は…意味の分からないから事を「意味なんて無いよ。アンタを助けたいから、アイツを助けたいから、運命を俺達3人は感じるから。友達の為に使えるって幸せじゃね?」…何も知らないのにですか」

黙ったまま、俺は、夢が去って行った場所に足を進ませて行く。一歩、一歩と、進み。扉を撫でていた。

「お願い、」

その一言から、Romeは荒れたように、俺の腕を掴み、研究室へと篭った。







僕が眠りにつく、なんて物は知らない。ただ、時間が、過ぎ去り、目を開けた時にはもう、ひより は夢の胸の中で眠っていました。夢が、僕を見る目は、とても… 苦しそうな、そんな目で、僕を…

「見るな…み…見るなっ!」











ぐしゃぐしゃになるまで、夢の顔を殴った。片目は潰れて、沢山の赤色が落とされた。真っ白なシャツが真っ赤に染まった。真っ赤に … 。それでも夢は、僕を抱きしめている。何度も、抱きしめる夢の手は、僕をいつ、殺すのかと、思っていた。それは、今でも同じ事。

「…いつ、僕に、下してくれるのですか…罪を受けて良いだけの事は、した筈だ。たった一人の友…達…を、僕は…」

「その友達を使って、Rome様に罪を与える私は、どれだけの罪を戴かなければ成らなく成りましょうか?」

「…」

優しく背中を撫でる手。そして、ゆっくりと、両手を伸ばす手が、僕と夢とを囲うように包み込んだ。

「おはよ」

深夜を回る時間に、そう言葉出すのは、あの学園生活と変わらない。また君は、と、癖のように言葉をするRomeに、夢は優しく微笑んだ。









その、何度も何度も追い込んだ、二人しか知らない話があっての今…解決を見せた、頭に咲いた蓮の花。

その花の意味を知るのは、ひよりと、Lunaticの二人だけ。Romeや、夢には心配掛ける事は無いだろう。わざわざ、言う事でも無い。今、ああやって笑っていられるのだから、それは、凄く良い事だ。元通りに成ったように、今は、楽にいられるでしょう?


「本当は、辛いと口にするのは簡単ですよ」

「いや、アンタには感謝してるよ、また、馬鹿な事やって楽しめるじゃないか。次は、3人で、いや、4人か」

「…」

嗚呼そうだ。灯が、もうすぐ消える人が、見えているのだから、沢山騒いで過ごさないと、勿体ない。俺に今出来る事は、これでもかってぐらいの楽しい思い出作りをする事だ。


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あきゅろす。
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