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Angel-4

赤い月を見る。その月から流れる物何なのか、何処に行くのだろうか、と無駄に考えを頭に浮かばせた。その夜空に似合わない金色の星が、眩ゆく月の邪魔をする。そんな空をただ、ぼーっと眺めて、微かに動く、ミルクティ色の髪をした青年に気付き、その髪に指を絡ませ、小さな声で呟いた。

「何時まで眠っているのでしょう…ね」

髪を弄る手は、止まる事無く絡ませて、視線はまた、月へと向けられた。




数分と時を刻み、ふ、と、手に手が触る事に気が付く。ゆっくりと目を向ければ、そこにはRomeの姿が見えよう。夢が表情を変える前に、Romeは口を開けた。

「彼(ひより)では無くて、残念でしたね」

ニッコリと笑みをRomeへと向ければ、「とんでもない」と頭を下げ、その手を頬に擦らせる。細ませた目で、それを見つめて、手を一気に引き、夢を近くに引き寄せる。ガクリと態勢が崩れて、夢はRomeへと被さるようになるだろう。

「Rome…様」

「xx年09月01日、彼と君とが出会った日です。覚えていますか?」

「………」


















理由が欲しいなら、遊び事だったのでしょうと答えをあげます。

クラス1に、運動神経が抜群な彼(夢)と、運動等、自分の世界観に入らなかった彼(ひより)とが出会う何て事は、誰もが思わなかった道理だ。

勝手なイメージで、サークルと言った物に入るのだとすれば、運動関連に、夢は進むのだろうと、誰もが思っていた。そんな彼が進んだ先は、ガーデニング。変わった植物を育てるといった、科学方面の物に進もうとしてました。先生達は、彼に強く、陸上の物を進めようとしています。才能、それを活かせる事、それは 学校での名前に繋がる意味に置いて、彼を必要としたのでしょう。よくある話です。

優しい彼は、先生達の期待に応えて、陸上競技に進みました。そんな彼を、Romeの研究待ちで教室にいた ひより が、ぼーっと彼の事を眺めているのが切っ掛けだったのかも知れない。

「随分、真剣に見てるのですね」

「別に、何も」

「僕は厭味を言ってるのです」

「ふーん」

聞く耳持たないような面持ちの彼に近づき、この科学室から見えるグラウンドへと眼をやれば、ひより が見ている存在を眺め、、口元を緩ませて笑う。

「彼が気になる、とか?」

「…気になるって言うか…興味かな」

ヘラリと笑みをグラウンドに向ければ、ガタリと立ち上がり、Romeの唇に、軽いキスを与えた。Romeは、慌てて口を押さえて、ひより を見るだろう。

「あっはは、面白いなRome。単なる挨拶、だろ?」

ヒラヒラと手を振って、教室から離れるひよりを見つめて、眼を反らせた。そう、Romeはキスをした事が無かった。所謂、ファーストキスの相手が、ひよりだったと言う話だ。キスをされた事に対して驚いている訳では無い。この行動の意味が分からなかった。ただ、それだけだ。しかし、唇が触れ合う時のこの気持ちを説明するとすれば、「 」をした」と言う表現が正しいのかも知れない。

「馬鹿馬鹿しい…」

と、彼は口に出して言うが、溜息の中に、隠れる文字は優しい苺色に染まっていた。ふ、と視線をグラウンドに向けて、夢へと眼をやれば、ゆっくりと目を瞑った。











「アイツの名前、双月 夢って名前らしい」

「知らなかったのですか?」

何時しか、ひよりは夢の事を口にする日が増えていった。そんな彼を見て、Romeは口元を緩ませる事が、無くなりつつある。








「今日、アイツ見ないな」

「…クス、最近貴方は、双月さんの事ばかり気にしてますね」

「…ん、気になるって言うか…そうだな」

「はい?」

「例えるなら、運命ってやつ?」

真顔で言う彼の特徴には、冗談か違うのかを見抜く事が難しくある時が多々ある。ため息を吐き出し、ひより へと近付けば、ひより の肩へと掴み掛かるだろう。

「Rome?」

「今度、会わせてあげますよ」

「え?アンタ、知り合いなの?」

「そうですね、知り合いと言うよりも…」

そう口にした後には、チャイムが邪魔をし、言葉が聞こえなかった。首を傾げるひよりに、笑みをして、「さぁ、帰りましょう」と、鞄を持つ。会わせて貰えると言う事で、珍しく ひより は、優しい笑みを向けていた。何時もの怠い感じの彼の姿は無い。









「Romeの家、白いな」

ひより を連れて、家へと招待するRome。家と言うよりも、どちらかと言えば、研究所のような物。この敷地は全て、白色に統一されていて、普通の人なら、気持ち悪く思い、離れて行く物だ。興味があるのか、様々な機械に目を向ける ひより。真っ白な中に、フラスコへと入る様々な色のした液体には、時めくような気持ちにもなる。

「目的、忘れてますね…」

「あー、そうだった!」

口元に手をあてて、楽しむ様子の ひよりを 眺めれば、片手を上げる。すれば、Romeの左右後ろに跪付く、和装の白と黒が特徴に出ている二人が現れた。二人が顔を上げれば、ひより が、「あ!」と声を上げる。

「双月夢!」

フルネームで呼ぶ彼に対して、二人は反応を見せなかった。Romeは、嗚呼…と声を漏らして、「楽にして良いですよ」と、口にしながら、ゆっくりと椅子に近付き、腰を降ろした。白と黒い着物を着た者達が立ち上がり、ひより の側へと近付き、じーっと見つめている。

「え…ぁ…(双子さん?)」

「彼等は双子の姉弟です」

「Romeとの、どんな関係?」

「ボディガードです」

きっぱり、と言うRomeに、ひより はキョトリとする物の、Romeへと向けられた眼差しは、何処となく、憧れるような物をしていた。Romeは、そんな ひより を見て、苦笑を零す。「すげぇすげぇ」と口にしながら、のんびり した口調で、ジロジロと夢や、彼女を眺める。

「もう一人は、双月 星と言う名前です。」

「何か、名前も変わってて綺麗だよな二人ともさ?」

その言葉で、ピクリと、二人は反応を示した。それに ひより は気付かない。さて、と口にしたRomeは、席を外して、別室へと向かおうとするだろう。その行動に気付く事無く、ひより は夢と星とに話をしている。

「ボディガードって事はやっぱ、運動神経あっても可笑しく無いよな。羨ましいよ」

「そうですか?私は、ひよりさんのように、頭脳があり、綺麗な体である方が、とても魅力的だと思います」

「頭脳って…アンタ、俺の事知ってるの?」

「えぇ、Rome様と同じぐらいの高さを誇る、成績の持ち主ですからね」

口元を緩ませ、次には、ひより の肩へと手掛けて、じわり、じわり、と壁へと寄せて歩いて行く。

「…何…」

冷や汗一つ零れ落ちる。星へと眼を向ければ、ニッコリと微笑まられてしまうだろう。無表情で ひよりに顔を近付けて、そのまま手のない、肩へと額を置いた。

「…は?」

カタンっと 扉が閉まる音がした。眼をやれば、Romeが近付いて来るだろう。夢に手を掛けて、ゆっくりと ひより から離す。簡単に剥がれてしまい。

「充電中でしてね」

「充電!?」

「眠っています。先程まで、仕事をしていましたので」

「仕事…で、こんなに疲れる?」

星が夢を受け取り、この部屋から去って行く。その様子を見ているひよりの目は何処か、寂しそうな気がするだろう。

「彼と会ってみて如何でしたか?」

「………」

「ひより?」

「あ……いや、ごめん、何か疲れてるのに、呼び出してしまったんだよな」

心配しているんだろう。見た目は、そうには見えない彼だからこそ、言葉で察する。言葉はストレートであるから、分かりやすくもある。ただ、何処まで彼の事を思っているのかが、分からないと言う事だ。

「お節介、って通用するタイプなのかな」

「何か、手伝いたいのですか?」

「仕事って、どんな物なのか分からないけど、出来るなら、してあげたい」

「正直、邪魔になるだけですね」

表情では現さない。だからこそ、今、彼が、Romeに頭を深く下げた意味が分からないでいる。ただ、行為する事、それが、彼の精一杯の事何だろう。何故彼が、感情を現さないのかを知っているからこそ、観察してしまう。そして、そんな彼に、興味があると言う事も確かな事。ふ、と笑みを浮かべれば、サラリとひよりの顔を撫でて上げさせた。

「夢を知りたいと言う事は、僕を知ると言う事です。その覚悟があるなら…」

紫陽花色の瞳は、Romeの目を真剣に見ていた。真剣なのか、どうかは分からない。ただ、外す事無く、見ていた。

「良いですね、その眼」












自分がHomunculusだと言う事から話を始める。自分を処分しようとしている存在の事を話す。夢と星が、夢師である事を話した。そして


「彼の能力は、相手を【夢】に落とし込み、【夢】を操る事が出来る力です。但、その力は3分〜5分程しか使えません。そして、バウンドに、睡魔に落とされます。通常の睡眠ですと、4〜6時間が平均ですが、能力を使い、無理を称した場合、240時間以上(約10日以上)と眠りにつきます。」

「……」

「本来ならば、星が【夢】の世界に入り込み、相手の【夢】へと、夢(能力者)がコントロールする人形(夢食い)に成れば済む事なのですが、双子ながらも、シンクロ率と相性が悪いようです。それが出来れば、何の変わらぬ生活が、夢も星も出来るのですが」

例えるなら欠陥品ですね。と溜息混じらせて答えれば、Romeの服へと ひより が掴んだ。言葉に対して怒ったのかと、視線を向ける。

「星以外の人は、その、人形になれたりするのかな?」

何を言い出すのか、と思えば、その能力について 詳しく知りたいのか?と言うような質問。コクリと頷き、服を掴む ひよりの手を取って、握ってやった。

「可能です」

「じゃあ、

「ただ、失敗した場合、片方は【夢】の世界へ…永遠に時を刻むでしょう。目覚める事無く…クス…星も失敗例ではあります。こうして、此処にはいますが、言葉を失いました。言葉や声だけ、【夢】の世界の住人のみが聞こえる事に。」

「…」

「簡単な物ではない。それに、私は望みません。今のままで良いと、 「…駄目だ…」

何故、そこまで彼(ひより)は、彼(Rome)に そうまで 言葉を出したのか何ては分からない。
ただ、瞳に移る光は、何処か、純粋に…満ち溢れていた。


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