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Angel-2

「納得いかねぇ!」

RomeがNoirへと発した言葉に対して、白蓮は、はっきりと、そう言うだろう。Noirの元で、修業をさせるような言い振りに、自分の許可無く勝手に進まれてると言う事に、腹が立つのだろう。チラリとRomeは夢に眼を向けた。夢もまた、溜息した姿を見せて、呆気ている様子。

「一刻も早く 戻らない と!」

「戻って、お前は何の役に立つのだ?」

「戦っ

「戦う?誰とだ?」

「敵軍に決っ

「っ はははは!」

口を開けて笑うNoirに、白蓮が、再び怒りを露にさせて、攻撃を仕掛けるだろう。それも大きく空振るように、簡単に避けられてしまい、隙を見せてしまうだろうが。

「それで?お前に何が出来るんだ?」

白蓮の背後から声が漏れる。耳に感じる吐息の近さに、馬鹿にされたと思うだろう。振り返り、追い掛けては見る物の、Noirは既に、白蓮の背後にいる。

「遅い、ほら どうした?」

声のする方向にただ、向いているのが、精一杯の状態。そしてまた、捕われてしまう。項にしっかりと深く掴まれてしまい、もう片方の手は、白蓮の右腕を掴み、後ろ手にされる。身動きが取れない状態と成れば、何もな出来なくなる。

「これで 終わりか? …クク たわいもない」

その様子を夢は、一部始終見ていた。そして、一歩前に出れば、ニッコリとNoirへと笑みを向けるだろう。Noirもまた、妖艶なる笑みを向けて「おいで」と声をかける。

「双月、コイツの相手は俺っ が …

もう既に、Noirの手は離れている。そして、夢との戦闘が始まっていた。白蓮へと歩み寄り、その光景を、腕を組みながら、Romeはしっかりと見ている。その姿を見た白蓮は、小さな舌打ちをするだろう。

「利口ですね彼。先程の貴方との戦いをしっかり見ていたからでしょうか、Noirを自分の後ろに立たせないぐらいの速さで行動に移っています」

… …

「しかし、そのスピードが何時まで持つのでしょうね」

「なぁ羊」

「はい、何でしょうか?」

「羊」と呼ばれた名前にすら、さらりと返すRome。目はこちらを見ていない。そのまま戦闘する二人を見ていてはいるが、言葉は耳に入れているようにも見える。微かに、苛立ちわするが、まぁ良いか、と言うように、言葉を出していく。

「俺に戦力が無いってのは分かりきってる事だ。アイツ(Noir)の言い分も分から無くも無い。けど、俺は、こんな事をしてる暇何てもんはねぇんだ」

沈黙を少々させて、Romeの眼は、白蓮へと向けられた。そして、ニッコリと微笑み浮かばせれば。

「では見す見す 命を落とすのですね」

「… 人数が集まれば良いんだ 俺は、死んだって構わない。」

価値観の違い、それの白蓮の答を糾す権利がRome自身には無いとは、Rome自身も分かっての事だから、直ぐには口を開かなかった。彼、白蓮の考え方も正しければ、今、Romeが考えている事も正しいと思う者もいるだろう。時間と、成長を身に付ける戦略を立てるとのどちらかの違い。それを考える時間ですら、恐らく白蓮には惜しく感じるだろう。

「押し付ける言葉かも知れませんが…僕の考え方は、一人でも多くの強い味方を、成長させる事です。時間の成り行きにより、幾万の生き物が亡くなろうとも、それは束になって 進む、やり方では、後先、勝っても虚しさと成ると、僕は思っています。仲間の数だけ、力を身に付けば、幾万の人も強くはなれる。そして、その 数だけの人(駒)の中である一人ので、あって欲しくないと、僕は思っています。 君は、王座に座る、王でも あるのですから」

灰色の瞳が、真剣に こちらへと見た事は、今までに何度あっただろうか?冷静でいて、理屈っぽい物を言うようにも聞こえる。だけど、少なからず分かった事がある。自分は、中心となる人物だと言う事。

「上手く、駒を使える人が、勝者と言う事ですよ」

付け足すようにLunaがそっと、二人の肩に手をあてて、穏やかに笑った。はぁーっと深い溜息を吐き出して、困った顔をした様子を見せながら、白蓮は、腕を組む。

「Thanks … 頭、ちぃっとばかし、冷えた。んじゃ、あの 黒い野郎、とっとと片付けてちまって、次の計画って物、考えるとすっかな」

「切り替えの早い子だ」と、Noirもまた、LunaとRomeに眼を向けて、楽しげな笑い方をするだろう。それには、クスクスと、二人が笑って応じる。そんな中でも夢は、真剣にな面持ちで、Noirに挑み続ける。

「真面目ですね、夢さんは」

そう口にしながら、Lunaは、ひより に近付き、優しく髪に触れ、撫でてやる。すれば、蓮の華が消えて、ひより がピクリと眼を深く瞑り動いた。そして、ゆっくりと開かれて行くだろう。

ん… おはよ

眼を擦りながら、欠伸を一つして、戦っている夢の姿を見る。パチクリとした眼でRomeへと眼を向ければ、珍しいもの見た、と言わんばかりに凝視している。

「眼で言わないで下さい、君が現実で眼を覚ませている方が、この光景の、何百倍珍しいです」

「何で、力を使わないんだ夢はさ?」

「彼もまた、自分の本来の力を、引き立たせる相手を見て、楽しんでいると言う所でしょう」

「あー、ほんと だ、眼が笑ってない」

眠そうな顔をしていながらも、状況を見て、頭を回転させているか、いないのかは分からない。ただ、無駄な事を言う事は無い ひより を見て、白蓮は、変な奴、と思うだろう。

「さてと、俺が起きてる間に出来る事って言ったら、そっちの 天使さんに ちょっと学ぶぐらいの事かな?」

ひょこり、目の前にいるLunaへと顔を近付ければ、頬へと優しいキスを与えるだろう。しかし、Lunaは平然でいて、そのまま近くにいる。

「有難うな、アンタ、俺の睡眠時間を早めてくれたんだろ?頭の中、スッキリしてて靄も無いぐらいに新鮮な気分だ」

「気付いていましたか」

「夢の中って言っても、時流の変化は、変わるもの何だよ。帰ってから、また、早送りの世界から、ちょっと スローに戻るだけだから、大丈夫」

「世界(夢)を弄ってしまいましたねごめんなさい」

「俺の為にしてくれたんだ、構わない。それより、さっさと始めよう」

ゆっくりと立ち上がりはする物の、フラリと揺れて倒れてしまう。約21時間と眠っているのだから、それは当然の事。しかし、ヘラリと笑って、再び立ち上がれば

「夢ーっ さっさと打っ倒して遊ぼうな!」

ケラケラと笑いながら、片手を上げて、夢を見る。夢は、その声に、振り返ってしまい、眼を疑うような気持ちと成るだろう。「ひより!」っと名前を呼んだ時には、Noirに捕まってしまった。しまった、と口にはしないが、思うだろう。しかし、「もう一度」とNoirに声を掛ける。その声にNoirは、ゆっくりと手を離して

「甘い考えをしていると、敵に足元を掬われるぞ。クク… お前、アイツの事が好きか?」

「… ……クス… 生憎 結婚してますので」

言葉の間に、目に見えぬ程のスピードで、Noirの眼を欺くだろう。そして…

「…… …ふむ」

一瞬の隙、Noirの片腕に夢の手刀が入るだろう。そして、左手をNoirの目の前に出して見せれば、「本当ですよ」と言葉を落として、指輪を見せながら微笑んだ。

「成る程、守るものがあれば強くなれる。それはよく 分かっているよ」

温かな笑みをNoirも向けて、トン、と足場を落ち着かせた。その言葉から、ゆれる、先程とは違う、不穏な空気に、夢は、態勢を切り替えた。


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10/04/15/Magazine発行

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