「lie」 to call 「dream」..6
点々と散らばる赤色に、前屈みな姿で床へと笑みを向けた。ゆっくりと立ち上がろうとすれば、背後の刃が更に奥へと、突き入れられる。それでも笑っていられる自分に浮かぶ頭は、窓から離れた白きbaphometの彼だけに映る。
馬鹿に止めは効かないと思っていましたが、こうもあっさりとフラれて仕舞えば、僕とて、苛立ちはクる物です
ズズズズズ
それでも立ち上がり、窓へと顔を向けようとする。そんな彼に、夢は、項へと掴み、床へと押さえ付ける。肉を剥ぎ取るように、サバイバルナイフを何度も突き刺して、ぐちゃぐちゃと音を立たせ、刔る。
… ぁ、 ああ あ あ !!
これは、現実でしょうか、夢でしょうか
カツカツカツ コツン
ぼやけた視界に見える、ミルクティ色の髪をした彼が、扉の微かな開かれた場所から、コチラを覗いている。それを見たRomeは、出した声を、次には止めた。
生憎、僕はこちら側では無い、返させて貰うよ、夢、 ひより …
聞こえるだろうか、この隣の部屋から聞こえる音が。その声により、夢は目を見開けて、ナイフから手を離した。そして、Romeの口元は、薄く三日月を浮かべて、意識を集中させる。彼(夢)に聞こえるように…「これは夢」そして「壁の向こう側は現実です」
向こう側にいるのは、眠っている ひより しか居ない。そして、この 響き渡るような壁を打つ音…。夢はゆっくりと立ち上がり、この部屋から、離れて行く。Romeは夢と現実の境目の夢に出会うだろう。隣の部屋へ向かう姿が。その姿にクスクスと笑いながら、起き上がる。そして「悪魔」と、小さく呟いた。
ギィー … カタン
逆十字に吊され、手の平には杭が刺さっている。流れる赤色は、地面を水溜まりにさせた。口を押さえて、地へと目を向ける、目尻からは透明が溜まって行く。ガタリと座り込む音がその扉前から聞こえた。振り替る白い悪魔は舌を出して笑う。
おはよ、夢しか扱えない賢者さん
足先で、首の裏側を撫で落とす。次には、やわりの踏み付けて、ガクリ真下に顔を向かせた姿になる。片手で、脚を撫でて、下に下ろせば、ピリピリと服が切られて行く。
夢の中ってのは、随分と楽な物だよな。ほら、何をしたって起やしない。じゃあさ、現実を知るアンタが、この夢でしか会えない子を、どうにかしちまった(殺めた)場合、どうなってしまうんだ?
… 白蓮 さん、
ぷ…つ… グチャ …
脚に爪が突き刺さる。簡単に入れ込ませて、ピクリと ひより は反応を見せた。
質問にだけ、答えたらいいよ。生かすも殺すも、俺の勝手だから
…
指を引き抜いて、脚に赤色をなすり付ける。夢からは大量の汗が、零れ落ちるだろう。白蓮は、その姿を見て、また笑んで口に出す。
ほら、現実を見て見ようか先ずは
扇子を開ける。スッ…と前に差し出し、パチリと閉じて仕舞えば、夢に目掛けて飛ばし、頭に直撃するだろう。透明と赤色が混じった物が、ポタポタと地に与えゆく。ゆっくりと、顔を上げて、その光景を直に目にした。異物を吐き出しそうだ… 眩暈がする。そして、震えが止まらない。
はい、次、さっきの質問の回答だよ。答えない場合は、実行させて 見るってのが一番早いってもんだ わかるよな?
…彼が死ねば、私は睡魔に犯されます。そして、二度と目覚める事は無くなる
意外に、単純なんだな、もっと楽しい物を想像してたんだけど …例えば
すっと差し出した手からは大量の錠剤があり、それを、バラバラと落とせば、ニッコリと笑んで、残りの薬を口に含める。次には夢の目の前に現れていた。そして、髪を掴み、口にある手を退かせて、無理矢理に唇を合わせ、口に薬を ひとつ ふたつ みっつ …
ゲホ っ !
もう終わりかよ … ま、いいか
何を 、 した …
口元に一本の指を添えて、妖艶な笑みを浮かびあげれば、囁くように「秘密」と声を零す。それには、眼の色を変えたように、白蓮に目掛けて、サバイバルナイフを瞬時に相手に向けて、切り裂こうとする。しかし、白蓮は、簡単に避けてしまい、更に迫る、夢の攻撃も、身軽に避けて行くだろう。
中々な 反射神経と、動きだな、俺が後少し若かったら、全部クリティカルって所だねぇ
っ
言葉に成らない怒りが込み上げて来る。動きが速まる事が分かる。それには、楽しく成ってしまったのだろうか、声を出して、笑い出す白蓮。
そう言うの、嫌いじゃねぇよ… あれ?
楽しく、戦闘をしている最中に感じた物。それは、逆十字に吊された彼の姿が無いと言う事だ。「またか」と声を出せば、次には背後から ひよりの姿がゆらりと感じ取れた。「ああ、やっぱ夢かい」そう口にした途端に感じる違和感。
これは、夢じゃない…
ひより に触れられたヵ所から、じわりとの響く、念力の力、そして、前方には夢の姿。ニッと笑みを浮かべれば、肘鉄をひよりへと食らわせようとするだろう。しかし、その肘鉄は軽く、何か、ヌイグルミのような物に触たような感触にしか慣れない。
は …
振り向いた、その先には、ひより はいない。そして、目線を上げれば、宙に浮いている ひより の姿が見えた。
… 、ち
夢なのか、現実なのか。そう迷う自分に、牙が目の前に映るだろう。緩めた口は、苦笑に変わり、手を上げる。そして、扉の向こうから見える、少年の姿に、また苦笑を見せた。
はぁ… 悪かったって 試すような真似してさ…っか、疑い深いもんだな羊
…カツカツカツ…カツ
わざわざ、演技までして やるってのもアンタの趣味かい?サディストの血が泣くぜ?
結論から言えば、互いに、相手の力が、どれだけの物かを確かめたかったと言う事である。その理解にたどり着いたのが、先に、白蓮だったと言う事。しかし、何処からが夢で、現実なのかが分からない辺りが、気に入らないようで、苛立ちは隠せれていないようだ。
まずは、分かるように、なりましょう
簡単に言うけどな、羊は分かってんのか?あ?
えぇ、今、現在は 現実です
!
苦笑を零して、サバイバルナイフの姿を見つめる。そな先の夢の目と表情は、ピクリとも動かない。「何者だ?」と、唾を飲み込み、そのナイフの先に舌を滑らせ、はぁっと息を吐きかける。
暗殺者、そして、夢師ですよ彼は
随分な事だな、と口にはしないが、舐めた部分から、じゅう…っと音が出され、ナイフが溶けて行く様を見つめて、白蓮は楽しんでいる様子。
んじゃ、バグのアイツは?
ひよりは、夢師とエスパー使いです。言いませんでし
言ってねぇよ
因みに彼は、無意識に、エスパーを出しているだけですので… 寝てますよ
… … …
まるで、殺人人形だな。そう内心に思う言葉は秘めて、つかつか、と、逆十字に近付き、座り込む。納得がいかないのか、それとも何を考えているのかは分からない。しかし、Romeの表情は穏やかに、三人を見つめていた。そっと、夢の頬を撫でてやれば、何かに解かれたように、目に光りが宿る。空かさず、ひより の方へと向かえば、手を伸ばして、そっと、抱えて、抱いてやり、背中を数回撫でる。カクリ、と再び眠りに落ちて、静かな寝息を立てた。
アンタさ、もしかして… 生き物を操ったりする 道化だったりする?
クス…僕がですか?
……マリオネットってしってるか?
マテマリットの、外国で共有する名前ですね
(マテマリット…?)あー、そうなんだ?
えぇ、糸に繋がれた人形を意味するのでしょう
… (なるほどな)…ネッターかよ…
…クス、さぁ?
Romeの奴隷、つまりそれは、操り人形の駒である事だと気付いたのは、この時の話。そして、最大の武器が… ( )…。マテマリットの訳、その意味を理解出来れば、この話の終焉も近い。
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