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「lie」 to call 「dream」..5

偉く荒れていますね

研究所から離れて、教会と街とを結ぶ場所に4人は足を進ませた。此処には、様々な種族がいて、上下なんて物は無い。ただ、自然に暮らす風景と、生活と言う物が見える。しかし、それは今から2時間前の話である。街に踏み入れ、宿に入り、3つの部屋を借りた。夢とひより が同室で、Romeと白蓮は個室。食事を終えて、部屋で寛ぎをする時間、いや、そんな事をするのは白蓮ぐらいのもの、食事を終えれば、Romeは夢の部屋へと行き、作成会話を進めて行く。耳の良い白蓮は、その足音一つ、言葉一つも逃さない。しかし、話している内容は、分かる物じゃない、あまりにも難し過ぎて。艶やかな着物姿で煙管を口に咥えて、夜空を見上げ、ぼんやりと頭に浮かばせる、数時間前の夢とひより の能力の話、そしてRomeの表情。

『私は眠る事はありません、換わりに、ひよりが眠っていて、私に力を与えてくれるのです』

『同じ時間を共有する事を、アンタ達はしたく無いのか?』

『…これは、私とひよりが、Rome様に望んだ力ですから』

『…望んだ、だと?』

『はい』

だから、Rome様を、責めないで…か、

この話をすれば するだけ、Romeの姿が小さく見えたような気がした。そして、何処か…取り残されたような、そんな…

(シャワーの 音 ?)

隣の部屋から聞こえてくる、荒いシャワーの音。そして、微かに聞こえる…

… っ …

耳を塞ぐ。どうして自分は、こんなにもアイツの事を意識しているのかが分からない。異常な程に、体を熱くさせてしまう。
目を細ませた、次に耳から手を離す。壁に近付き、背を向ける。ズルズルズルズルと壁から背中を滑らせて、座り込み、酷く荒れた、アイツの声に、己を意識させる。歯を噛み締めて、俯き…欲するままに。

最低 だ、 …








何時しか音は静かに、街の明かりも 此処から見える外からは消えて、静まり返っていた。隣に聞こえる声も無い。Romeは自分の部屋に帰ったのだろうか。
時計を見れば、あれから二時間が過ぎたぐらいだ。突然に、空が真っ赤に染まった。一度目の赤色には、ぼんやりとしていた。しかし、二度目の赤色には、大きく扉が開かれて、Romeが部屋に入って来た。

何で来る訳 ?

私の部屋からは、外が見えませんので

嗚呼、そうかい…じゃああの夢師にで…

あそこも外が見えません

そ、

近いですね

そんな事はどうでも良かった。ただ、思った以上にRomeは、平常であって、冷静に外を見ているだけだから、何により彼を元に戻したかの事に、意識が行ってしまう。そう思うのもつかの間、夢も部屋へと一礼をして入り、外を眺める。その夢の姿に、目線を落とし、気分が優れない。イメージする事が、先程の… 。そして、Romeの言葉に、思いのまま返答を出してしまう。

偉く荒れていますね

は?誰が?

そう口にした白蓮に、冷たい目を彼に向かせた。それには、あれ?っと首を傾げて、Romeが指す指の方向を見るだろう。あれです、とRome言葉する。白蓮は立ち上がり、外を見つめ、瞳孔を細める。

… LapisLazuri …

!? LapisLazuri … 何を言って

知らないのか…LapisLazuriは、この国で最も優れたコンピュータだ

知ってます

じゃあ、何を疑問に?

どう見てもあれは、化け物ですと、

ああ、LapisLazuriが作り出した化け物って所だろうなぁ

意味が分かりません

すっ と、夢が二人の間より一歩下がった位置で、窓からその姿を眺めて、静かな声で口に出すだろう。

聞いた事があります。作り出された物を具現化出来るコンピュータがいると。しかし、シンクロ率が無ければ、ただの幻覚です

現に燃えてるじゃありませんか

その具現化されたイメージを、受け止める者によって判断されます。私には何も見えませんから

!…何も… 見えない…?

えぇ…

因みに俺が見えてるのは、巨大な牛だな

牛…ですか…(私には炎が舞ってる姿が)

「やっかいですね…」と、親指を下唇に押し当てて、微かな苛立ちを足に示す。そんな彼の肩へと そっと手を当てて、首を横に振るのは夢。「らしくない」と、言葉を出さずに、目を細ませて、Romeを見る。その間にはもう、白蓮が窓の塀から脚を掛けていた。

ま、見せられてるもんってのは大抵、自分が一番恐れている物だわな



本体であるLapisLazuriを壊してしまえば、問題無いって事だ。

待って下さい、貴方にとって、LapisLazuri は、育ててくれた…

… は、一々喧嘩に恩を作ってたら、戦争なんて出来ないぜ?

それに、勝手な行動は っ

脚力を込めて、彼は翼を広げた。上昇する速さに、目で追う事すら出来ず、呼び止める事も愚かな事。両手で窓の碧へと強く打ち、舌打ちを零す。そして次には…

ブスリ …

…っ ぁ、は

じわり、感じる熱さが背中から感じ取られた。真っ白なコートは真っ赤に染まり、はらり、はらりと…落ちて行く。



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あきゅろす。
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