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baphomet...A

三日月が高い時間の、星が煩いぐらいに空へと貼り巡る夜の日に、僕等が見た物は、逆十字架の真っ黒な教会。
手を握り合い、二人の双子は顔を見合わせた。日光に弱い一人にとって、夜だけが外出を許される…。
今日がその、外出を初めて許された日の事
これは、偶然なのか、必然なのか…
決められた運命ならば、逆らえ無い…
まだ、この二人が、7つ 程の幼い時の話が今、始まる。


扉を開ければ、賛美の代わりに聞こえる吐息と、乱れた声。
貴族と奴隷との身分がはっきりと分かるような存在が、瞳に写る。
一人は手を引き、一人はその後継を凝視していた。奴隷は、震えながら笑みを向けた、見ていた一人は手を振って、ばいばい。
更に奥の部屋へと足を進ませる時、甲高い声がその、歩いて来た道から聞こえたような気がしたが、二人の耳には届かなかった。
二つ目の扉に、二人は耳をあてて、音を聞く。そこには、無音と悲鳴と喘ぎと、笑い声と、怒鳴り声の順番が二人を押し寄せた。一人は耳を離し、一人の手を引いた。
しかし、一人はそのまま硬直してしまい、足が動かなくなってしまった。
硬直した一人をおぶって、この場から逃げようと走り出す。しかし、数歩先で転げてしまい、再び立ち上がろうとした時に眼に写る黒い影が、自分を被った。

ぴしゃり ぴしゃり 音を立たせる物が 大きく この廊下へと響かせた。
背中に感じていた重みが無く、もう一人がいないと気付いたのは、たった今の話。
その時にしなければ成らない行動は、見上げなければ成らないと言うこと。
見上げれば、仮面を被った者が、顔を近づかせた。
そして 片手には 片割れの存在が
ぷらり ぷらり …揺れている

や や や やややや っ やめっ

声が震えて、言葉迄に到達しない。
片手を差し出した、しかし届く筈が無い。

お お … ね が 、い …

床を湿らせたかと思えば、座った位置はびしょ濡れで、怖さと興奮と、迷いが自分を追い込めている証拠。

「恥ずかしい奴だな、お前は…誰が、おもらしをして良いと言った?ほら、床が汚れてしまったら、どうすれば良いとパパから教わった?」

は、 ひ … ィ !?

大きな音が再び、廊下へと響き渡った。
大粒の涙が、震えと共に、宙へと舞い落ち、続くその獲物の根本が顎に触れて、上げさせられる。





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あきゅろす。
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