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Alchemist...C


これは、僕の記憶が書き込まれた物。
過去、あった、実験での…失敗作の論文
読めば、淡々と書かれているが、記憶を呼び覚ませば……………。




三日月がまるで笑っているような気がした
僕は父親に呼ばれて、この深夜回る暗い時間に、一歩一歩、歩いて行く。
暗い森は、月と同様、化け物が笑うように見える。絵本でしか見たことの無い、そんな世界。
魔女が全て、仕組んだ悪戯だと、今でも思っている。少し前の記憶。

お父様…

まだ、5つ 程の少年は、地図を頼りに進んでいく。後ろに振り返る事が怖い。
ザワザワと音が聞こえる、だけど 振り返れば、きっと …

「 」

お父様 !

そう、罠に掛かる。口を押さえられ、首に手刀が入る。大きく目を見開け、少しづつ 瞼が落ち、視界が歪む。
気付けばそこは 研究室、目を擦り、ゆっくりと身体を起こして、片手に柔らかな物が触れた

ん、

ぼんやりしていて わかない。視界もまだ、揺れるように気持ちが悪い。
少しづつ 見えるようになってきた。それは、少年と同じ、白と銀の混じる髪に、真っ白な肌をした20〜25歳ぐらいの人間だった。
彼は、沢山の管に、繋がれていた。
首に吊された NumberPlate

Ro … m…e ?

自分と同じ名前が刻まれていた。
そして、視界が回復し、自分は何処にいるのか分かった。
此処は、診察台の上だ。

Rome様を目覚めさせる為に
その魂が必要なのです Rome様

ぇ … ?

意味が分からなかった。「大丈夫ですよ」の声と共に、少年は服を剥がされて行く。
勿論、暴れるだろう。そして、頬を大きく叩かれた。

(どう、し、て?)

腕を押さえ込まれ、注射針を目にする。
怖さのあまり、言葉が出てこない。

これは Rome様の愛する
お父様の望みなのですよ?
ほら、御覧なさい?

指をさした方向には、父親が居て、笑っている。少年は、笑う父に理解が出来ず、助けを求めた。

お父様 ! お父様 !! 助け … ぁっ

針が刺さる場所から、繋がる先、それは隣の青年の管だった。自分の血液が、その物に入り込む様子が、体でわかった。

Rome、 私は お前と交わりたかったんだ

意味が、分からない。これは、どんな終りを告げるのか、少年にはわからなかった。涙を溢れさせ、落ち行く雫の数だけ、他に自分に入る針の点滴が、落ちる気がした。
どんどん、呼吸が苦しくなって行く。
嗚呼、もしかして、眠たくなってきたのかも知れない。こんな所で眠ってしまったら、また、お父様に心配 掛けさせてしまいます。

ぁ、 ぁ … ぁ

愛しているよ Rome

ゆっくり近づき、少年の頭を撫でる。
同時に、その繋がれた者の頭にも優しく撫でられて。深い眠りについた。
これが死であったら、良かったのにと、時々思う。


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あきゅろす。
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