SadisticBoy...A
「アンタも結構、綺麗な顔してるね」
恐れを知らない、そのまま怪しげな笑みを浮かべて、その者の手に手を被せて、撫でてやれば、相手の手はピクリと反応を見せた。
「(…こいつ…)」
「おじさん、は……ん、ぐ…」
「あー、わりぃ、ちびが何か悪い事したか?」
後に続く言葉は、白蓮(はくれん)から離れろとでも、言いたげな黒蓮(こくれん)の口を塞ぐ紅蓮の姿が見えようか。
軽く、白蓮から不自然な事も無く、片手で、首根っこの着物襟を摘み、離す。
「…ちびって、こいつの事が?」
「お前以外誰がいるんよ?」
指を指したのはRomeの方、指を指すなと言わんばかりに、紅蓮はその指を手早く折り曲げて、相手の方に空笑いを見せた。
「悪いな、世間知らない餓鬼のやる事なんだ、許してやってくれ、Zenの旦那」
「構わないよ、こちらとしては、こんなにもbaphomet兄弟が揃うとなれば、そう、幾つもの温かい視線を設けられて、いい気分になっているんだよ」
「あっはは、いやいや、Rome様の事、見てるんですよきっと、人気、高いですからねえ、Rome様はさ?」
厭味にしか聞こえないこの言葉にも、ヘラヘラと笑みを向けて、対応を繰り返す紅蓮に対して、無表情のまま、白蓮はRomeへと眼をやり、眼が合えば、にんまりと笑みをした。
「…ねぇ、君、さっきから僕の事、ば…」
言葉の途中に眼隠しををZenの手によりされて、Romeの言葉が途切れた。
その行動に、白蓮は何も言わないまま、次はZenへと視線を送るだろう。
「ふん、どうやらこの子は、Romeと話がしたいみたいだね?どうかな紅蓮くん?二人で、話をさせてみ…「遠慮しておきます」…」
きっぱりと、珍しく言葉を返した紅蓮に、黒蓮は、紅蓮の顔を見上げて見ては、首を傾げた。
白蓮は、あーあ、と一声出し、再び足を違う方向につかつかと進ませていた。
此処まで紅蓮が言葉に張りを付ける程に、何かがあるのかと考えれば、自分の存在に、欝陶しさを感じるように、ため息を交える。
「さて、紅蓮くん、我々に近づいたと言うことは、それなりに、覚悟はあると言う事なんだろうね?」
「あっはっはっ…さ、ぁて?何の話かな…?」
眼を閉じて、笑みを地へと刻み物の、感じとるのは、回りの異常な程の殺気を運ぶ、魔力の力には、冷や汗一つ。
黒蓮を軽く抱き上げれば、顔を胸に擦り付ける程度に押さえて、しっかりと抱える。「面倒臭ぇ…」っと小言を零した声は、黒蓮の耳にしか届かない。
「アルケミストの力ってのは、こんな時に使うもんなのか?もっと有効的な遊び方があると思うけど?…(ニヤ)…薬、とかね、」
「クスクス…その薬の材料になる獲物が、此処(教会)には集まっているんだろうに?…今日は贅沢な獲物が掛かりそうだけれど」
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