「特殊虚の討伐?」 「あぁ…気をつけろよ、十一番隊から行った先遣隊の奴らは誰一人帰って来なかった。」 「ちょ、ちょっと…待って…… 何で、訳分かんない相手に私達二人しか行かないの?」 「……俺達が“零”だからだ! 行くぞ、舞」 「はい」 虚の能力は未知。 ただ、死神二十名の命を奪った。 正直、今は斬魄刀を使わずにいたい。卍解状態の霧雨は狂暴でまるで人が(刀が)代わってしまったかのようになる。それに、私の意識も飛んでしまう。 「!、なぁに、そんな心配すんなよ。俺がいる、お前は俺の後ろだけ見とけ。」 「はい…」 何時もなら“子ども扱い”だって怒るけど…今はこの温かさがいい。 「にしても、虚はこの辺りで目撃されてるんだよな?」 「あ、はい! ……ここ不気味ですね、嫌なくらい草木が生い茂っていて視界が悪い」 「気を抜くんじゃねぇぞ、! 舞!二時の方角だ!微かに気は」 柊の声は途中で途切れた…… 「ひ、いら…ぎ、たい、ちょ?」 振り向けば柊隊長の背中。 その背中から、鋭く長い真っ赤に染まった爪があった。否、刺さっていた。 |