そこは何処までも続く草原。 風が吹き、青い匂いが鼻を掠める。 瞬きをしたら、目の前には小さな湖。 「…霧雨」 舞は、静かに呼び掛ける。今日は、必ず手にいれる。 そう、心に決めてきた。 「準備いいの?舞ちゃんっ」 「うん、よろしくね。霧雨」 「当たり前!」 どこか人懐こい可愛らしい少女。そう、ここは舞の精神世界で目の前にいる少女が相棒の刀、霧雨の姿。 2人はゆっくりと目を閉じ、現実の世界に…… 卍解を得るために。 具象化は出来る、後は屈伏のみ。 しかし、その屈伏がなかなかクリア出来ないでいた。 「舞ちゃんっ、今日は何する?」 「霧雨がいつも決めてるのに…」 「だってさ、今日は…負けそうな気がするんだもん。何でもいい!」 「負けそう」と、何とも弱気な霧雨。近くに行って頭を撫でてあげる。 「どうしたの?」 「新しい、力。舞ちゃんは何に使う?」 真剣な瞳は、少女の瞳とは思えない。しかし、霧雨はどこか儚い。 「…守る力、」 「え?」 「守るために使う」 「……強い力を得れば、それなりの代価が伴うよ?」 「うん、」 「舞ちゃんが…舞ちゃんで無くなっちゃうかも。霧雨は…そんなのやだもん!」 「!、…大丈夫。霧雨と私はずっとずっと一緒だよ」 「本当に?」 「うん」 「分かった、ごめんね。舞ちゃんは大分前から私のこと屈伏させてたの…だけど、私が怖がってて」 「霧雨、大丈夫」 「ん、舞ちゃん!受け取って私達の力を…」 「「朱嵐花霧雨」」 私は… 恐いという気持ちを忘れてしまっていた。 だから……… 新しい霧雨の力“朱嵐花霧雨”をコントロール出来なかった。否、朱嵐花霧雨の力が強すぎたんだ。 幸い、尸魂界の外れだったので被害を出さずにすんだ。暴れ回った後は、ただの斬魄刀に戻り鞘へと帰っていった…… |