「ねずみを殺れ!」
男が怪しげにそう言えば横たわっていた茉奈がゆっくりと立ち上がる。
「どうだ?…お前はこの娘を攻撃出来ないだろ?
この娘の頭にはお前がいっぱいだったからな!」
「…!」
「かわいそうにな!お前のせいでこいつが…死ぬ」
男はその汚い腕で茉奈を抱きよせ、指を茉奈の頬に這わす。
「やめろっ!汚い手でそいつに触るな!」
男が笑う。
「目…を…醒ませ…!茉奈!」
俺の声も虚しく、茉奈は手裏剣ホルダーから素早くクナイを取り出し俺にクナイを投げつける。
茉奈の使える全ての忍術で俺を攻撃してくる。
「目を醒ませ!!茉奈!!」
ありったけの声で叫べば微かに茉奈の瞳が揺らぐ。
だだ、俺の身体は既にボロボロ……茉奈の手は俺の血液で赤く汚れていた。
「ハッハッハハハ!お前に関わらなかったらコイツは死ななくてすんだのにな」
男の耳障りな声が耳に届く。誰のせいだ!
「ク、誰が死ぬかよ!…茉奈!俺は死なねー!お前の隣で在り続ける!
…それは、お前が居なきゃ駄目だ!…だから、茉奈!目を醒ませ!!」
「…!馬鹿な…」
茉奈は涙を流し崩れ落ちる。地にぶつかる瞬間に抱き止めてやる。 |