「ある一族、ですか?」 「そうじゃ、お前さん達みたいな若い者は知らんじゃろな。…昔、四代目が生きておらした頃じゃ、この里には“うちは”“日向”に並ぶ一族がいたんじゃ…滅んでしまったがな」 「“うちは”と“日向”って?」 「この里の血継限界を受け継ぐ一族のことよ、……でも、それほどの一族ならなんで……」 「わしら一般人は、その一族が滅んだ事しか知らんのじゃ…じゃが、一族が滅ぶ数ヶ月前その一族の長の娘が5歳の生誕祭を開いておったわ…」 「……おじさん、その一族の名前は?」 「“ソラ”一族じゃ」 グラ 突然、茉奈が膝から倒れた。 「ちょっ!茉奈?」 「…だ、大丈、夫」 「って言っても顔色悪いわよι」 何なんだろ “ソラ”一族なんて知らない 知らない筈なのに 何故か、懐かしいくて 何故か、辛くて 何故か、愛しい…… 「茉奈、帰る?」 「…うん、そうする。おじさんごめんなさい。」 「構わんよ。大丈夫かい?…また、おいで」 おじさんと別れ、いのと共に店を出た。 |