ColorfulDays!
◇
あれから赤司さんに宥められてだいぶ泣き止んだ私は半ば無理矢理赤司さんに抱えられて(正確にはおんぶされて)廊下を歩いていた。どうやらこのまま足の動けない私に気遣って自室まで送ってくれようとしてるんだろうけど…
「だ、大丈夫です!一人で歩けますってば!」
「その言葉は聞き飽きた」
「もう足は治りました!」
「…君は俺を馬鹿にしてるのか?」
自室につくまでこんな感じの言い合いを何回もしている。だって散々我を忘れて泣きついたあげくおんぶまでさせちゃって…申し訳なさすぎるじゃん!しかもこの格好かなり恥ずかしいし…もし他の人に見られたら絶対茶化される!!
「馬鹿にしてません!とにかくおろしてっ!!」
「意地を張るのもいい加減にしろ」
威圧感の篭もった赤司さんの声色に思わずビクッとなる。決して怒鳴り声をあげられたわけじゃないのにその力のある声色に私はただ黙るしかなかった。
「…すいません」
「わかればいいんだよ。君はただ俺の言う通りにしていればいい。次に反論したら容赦なくまたあの場に置いていくぞ」
「うっ…それはいやだ…」
でも、こうやって私の事見捨てないでおぶってくれたりして…優しいところもあるんだなー…
最初は恐くて苦手だったけど、ちょっと見る目変わったかも…
「泣き虫なところは相変わらずだな、りり子は」
「え?なんか言いました?」
「いや、なんでもないよ」
そう言った赤司さんは心なしか昔を懐かしむような表情で笑ってるように見えた。
「りり子っちー!大丈夫っスか!?」
中々来ない私を心配して探しに来てくれたのかさっきまで一緒にいたメンバー(美月先輩以外)が黄瀬君を筆頭に駆けつけて来た
「って、赤司っち!?なんで!?」
まさか赤司さんがいるとは思わなかったのか赤司さんの顔を見た瞬間焦りだす黄瀬さん。それは桃井さん、黒子さん、青峰さんも同じだった
「やぁこれは一体どういう事かな?」
張り付いたような笑みで4人に問いかける赤司さん。
「い、いやー…これはっスねー」
「えっと…合宿所の中ってまだ全部把握しきれてなかったから探索してたの。ねっ、みんな!」
「えー!?そうじゃなくって肝試しでしょー!?」
「((バカ!あかりっ!!))」
いまいち状況が掴めてないあかりは桃井さんの努力を無に帰すような破壊的な一言を放ち4人を地獄に突き落とす
「肝試し…?」
あかりの言葉に眉間を微かに動かす赤司さん
「あー!!違うんス違うんス!!桃っちの言うとおり探索してただけなんっスよー!!」
黄瀬さんが必死で説得をするも空しく赤司さんの険しい表情が戻ることはなかった。どうやら何を言っても赤司さんには全てお見通しみたいで言い訳は通用しないみたいだ。
「…で?何をしていたか説明して貰おうか」
「黄瀬が肝試しをしようって言い出したんだよ」
「え!?青峰っちひどっ!」
「そうです。言いだしっぺは黄瀬君です」
「く、黒子っちまでー!」
周りにあっさりと売られてショックに陥る黄瀬さん。まぁ確かに言い出したのは黄瀬さんなんだけれどちょっと可哀想…。
「黄瀬は明日の練習メニュー3倍だ」
「ええっ!?ちょっとそれひどくないスか!?」
「不満か?」
「いや、いいっス…」
「青峰、黒子。お前達もだ」
「はぁ!?俺ら関係ねーだろ」
「参加した時点でお前達も同罪だ」
「ったく、ダリーな」
「しょうがないですよ」
うーん。まるでうちの男子テニス部の光景を見ているようだわ。赤司さんに怒られてる黄瀬さん達が手塚さんに怒られてるリョーマ君や桃達とダブって見えた。
「風早さん…だっけ?」
「あぁ、はい!」
いきなり赤司さんに話しかけられた事により吃驚するあかり
「確かりり子と同室だったよね?どうやら足をくじいてるらしく一人では歩けない状態なんだ。このまま俺がおぶって行くから悪いが部屋まで案内してもらってもいいかな?」
「あ…はい…」
そう言って部屋に向かう赤司さんの後ろ姿をなにやら考え込んだ顔で見つめるあかりだった
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