干物女のグータライフ
「っと…もうこんな時間か」
蔵ノ介と最後に会ったあの日からも相変わらずグータラ生活を送っている私。ニート生活って本当人間を堕落させてしまうもので一回何もしない生活を送ってしまうと相当なきっかけがない限り中々元の生活には戻れないのだ。
いつもと変わらず酒を片手にパソコンをいじくっていたら部屋のカーテンから朝日が差し込み気がついたら朝になっていた。
「ふあーあ。目も疲れてきたしそろそろ寝ようかねー」
と、布団に入ろうとした瞬間に携帯の着信音が鳴った
こんな時間に誰だよと携帯の画面を開いたらそこには【忍足謙也】の文字があった。めんどくさいからシカトしようとしたけど徹夜明けで疲れていた(パソコンいじってただけだけど)頭に延々と鳴り響く電子音が耳障りだったからとりあえず出ることにした
「もしー?」
「お、めずらしく起きとったな」
「当たり前じゃん!今日はこれから面接なんだから(当然嘘)」
「ほんまか?俺にそないな嘘つかんでもええで」
「(ギクッ)う、うそじゃないよ!」
「ま、どっちでもええわ。てか話したいことあるから今日仕事終わった後飯いかへん?」
「なに?愛の告白?」
「アホか!俺には香澄がおるっちゅーねん。それにお前みたいな女に誰が告るか!」
「冗談だって。てかそこまで言わなくていいじゃん…
」
「お前がアホな事ぬかすからやろ!とにかく夜時間空けといてや。じゃ俺これから仕事やから切るわ」
ツーツー…
一方的に約束を取り付けられてそのまま電話を切られてしまった。謙也は昔からこうだ。見てるこっちが疲れてしまうほどのせっかちだ。持っていた携帯をソファーに放り投げるとそのまま私は布団に入って眠りについてしまった
―――――――………
「…で、またスッピンかい」
寝て起きたらあっという間に夕方になり、準備するのがダルかったからそのままの格好で謙也との待ち合わせ場所に来た私。そんな私のやる気の格好を見ていつもと同じように呆れた表情を浮かべる謙也。
「お前はそれでええかもしれへんけど、一緒に歩くこっちの身にもなれや。恥ずかしいやん」
「細かいことばっか気にしてんじゃないよ!別にこれから旅行にいくわけじゃないんだし」
「そういう問題やないやろ。自分そんなんじゃ本当に取り返しがつかんほどの駄目人間になるで?」
「あーもうめんどくさい!!説教する人間は蔵ノ介だけで充分!!早くいつもの居酒屋向かおうー!」
「人の話し聞けや、コラ!!」
後ろで怒ってる謙也を無視して駅前のビルに入ってる居酒屋に向かった。
「はぁ?蔵ノ介が女といた?」
うちらの溜まり場である居酒屋に到着して料理を待ってる間に突然目の前に座ってる謙也にそんな事を告げられた。
「普通に仕事関係の人じゃないのー?」
興味なさげにビールを飲みながら謙也に問いかける
「まぁそれはそうやったんやけど…あの雰囲気は絶対それだけの関係やない。もっと親密な雰囲気をかもちだしとったで」
「てかどこで見たの?」
「高級○○ホテルの最上階にあるレストランや」
その言葉にブフォっと飲んでいたビールを吐き出した。
「なにすんねん!とりあえずコレで顔拭きや」
謙也に渡された布巾で顔を拭く。てか高級○○ホテルの最上階レストラン!?私ともそんな所行った事ないのにっ!!
「この前香澄の誕生日やったからそこでお祝いしたんやけど、そこに白石もおったんや。女と一緒に」
「それで?」
「あっちも俺らに気付いてその女紹介されたんやけど、そん時に俺も香澄もすごい違和感を感じたんや」
「どんな?」
「お前は別やけど白石って普段女に対してあまり愛想あらへんやん?でもその女とはこっちが見ててもわかるぐらい楽しそうに話しとったんや」
「仕事の付き合いなんだから、愛想笑いくらいはするでしょ!深読みしすぎだよ謙也ー!」
「だからそんな軽いもんやなかったってさっきから言うてるやろ!?」
真剣な話をしてるのにも関わらず能天気に構えてる私に痺れを切らしたのか突然身を乗り出して声を荒げてきた。謙也の怒声に思わず肩をびくつかせる。
「そ、そんな怒鳴らなくても…」
「ええか?これはお前のためを思って言うてるんや。お前今のままの生活を続けとったらいずれあの女に白石を奪われてしまうで」
「そんな大袈裟な!それに就活はちゃんとしてるって、」
「ええ加減そういう嘘つくのもやめとき。危機感持たんと後で苦しい思いをするのはお前なんやで?白石が上昇志向の持ち主なのは一緒におるお前が一番わかっとるやろ。仕事も軌道に乗ってるようやしこのまま付き合ってたらさらにお互いの価値観にズレが生じて絶対に白石に見捨てられるっちゅー話や」
「……」
「これは忠告や。わかったら今の生活態度見直しとき」
「…うん。でも蔵ノ介が他の女の所に行くのは絶対ありえないよ!だからそんな恐い顔しないでよ謙也〜!」
謙也が心配してくれて色々言ってくれてるのはわかるんだけど、蔵ノ介が私以外の女の所に行くなんて絶対ないない。この前だってラブラブだったんだし!
へラッとこの緊迫した空気を和まそうと笑顔を向けて見るも謙也の険しい表情が消えることはなかった。
この時にもっと謙也の忠告を受け入れとくべきだったんだ
これから最悪な出来事を起こりうることも知らずにテーブルに届いた料理をバクバク呑気に食べ始める私だった。
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