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干物女の幸せの一時

あれから飲みを終えて帰宅中の私と蔵ノ介。最近蔵ノ介の仕事が忙しいからって事で中々お泊りも出来ずにいたが、ようやく一段落してきたと同時に明日は土曜日で蔵ノ介の仕事が休みの為久々に蔵ノ介の家にお泊りになったのだ。


「久々に蔵ノ介とイチャイチャ出来るー!嬉しいー!」

「最近構ってやれなくて堪忍な」

「いーのいーの!お仕事忙しかったんだししょうがないよ!」

そう言って満面な笑みを浮かべると、大きい手で優しく頭を撫でてくれた


「それはそうと、さっきの話しの続きなんやけど今日も昼まで寝とったってどういうことや?」

「うっ!!だからー…そのー…」

蔵ノ介を前にすると謙也や香澄の時のように嘘がつけない。それは多分私自身も蔵ノ介の前で嘘をついても必ずばれると分かってるからだ。まぁ、香澄と謙也にも嘘は見破られてるんだけども…蔵ノ介の場合は真っ当な生き方をしてきたぶん嘘にも敏感だ。こんな人を目の前に堂々と嘘をつける人がいたら見てみたいもんだ。


「まぁ、ええわ。明日からは絶対頑張り」


言葉に詰まってる私をもう見てられなくなったのか、そう言ってポンッと頭を叩かれた。

なんだかんだいって蔵ノ介は私に甘い。でも、その甘さがいつまでも続くわけがないといい加減この時点で気付くべきだったんだ。









◇◆◇◆◇◆




「蔵ノ介と寝るの久々ー」


蔵ノ介の家に着いてからはテレビ見ながらまったりしたり、一緒にお風呂に入ったりと幸せの一時を過ごした。

好きな人と一緒にいられる時間って本当に幸せーと改めて蔵ノ介の腕枕の中で実感する


「はぁ、金曜の夜に感謝」

「なんや、いきなり」


私の突拍子な発言に愉快そうに笑う蔵ノ介


「だって金曜の夜だと次の日の事を考えないで蔵ノ介といられるんだもん」


「何言うとんねん、お前は毎日が日曜だから次の日の事なんて考えんでもええやろ?」


「違う違う!蔵ノ介が次の日休みだからって意味!」


「そういう意味かい。でもない子も社会人になれば今以上に金曜の夜が楽しみになるで」


「え?なんで?」


「楽しみを控えて苦労を乗り越えた方がより一層幸せを実感出来るやろ?苦しい五日間を乗り切ってからの金曜の夜の方が今のグータラ生活から迎えた金曜の夜よりより一層楽しい金曜の夜を過ごせると思うで」


「まぁ、そうなんだけど私は蔵ノ介さえいればそんなのどうでもいいもーん!」


「そう言うてくれるんは嬉しいけどもっと自分の生活見つめなおした方がええで、自分」


「はいはーい。…ね、キスしてもいい?」


話を打ち切って、上目遣いで問いかける。


「して欲しいんやろ?」


そう言ってSっ気たっぷりの笑顔を浮かべる蔵ノ介。そういう顔見慣れてるはずなのにいつ見てもドキッとしてしまう。やっぱり蔵ノ介はイケメンだ。

蔵ノ介に見とれながら考え事をしてる間に顎を固定されて唇を重ねられた。


「ん…ふっ…」


唇を割って舌が入ってきてお互いの舌が絡み合い角度を変えながら口内を荒らされる。久しぶりのキスのせいかなんかすごい興奮するんだけど。

気が済んだのか唇に軽くリップ音をつけてゆっくりとお互いの唇が離れた


「蔵ノ介…」


久々の激しいキスに呼吸が乱れて息を整えていると真横に手檻を作られて押し倒される体制になる。


「続きやるやろ?」


そう言って厭らしく笑う蔵ノ介。どうやらスイッチが入ってしまったようだ。


「…あまり激しくしないでね」



――近いうちに二人の関係を脅かす人物が突然やってくることにこの時の二人はまったく気付かないのであった








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あきゅろす。
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