NO.2
あれは‥
‥― 雪の降り積もる
寒い冬だった。―‥
山の奥のバンガローで、俺たち家族はキャンプをしていた。
いつも家の中に居たがる両親が‥冬休みの思い出に山奥に泊まりにいこうと言い出したんだ。
龍にいは大学1生で、俺はその時まだ中学2年生だった。
遠出なんて滅多にない機会だから‥浮かれてたんだろ。
雪に夢中で
景色に夢中で
ほんとに全て‥
忘れてたんだ
全然‥
全く気づかなかった。
母さんと父さんがしっかり手を握りあってたことに。
いつもはふざけて喧嘩ばかりしてた両親が
ばかみたく久しぶりに見た雪で遊ぶ龍にいと俺の二人を
ただ微笑ましそうに見守っていたことを
あのときはまだ幼すぎて
わかんなかったんだ‥
‥―『櫂、龍哉、湖をみておいで』
□■□■□■□■□■
『う‥っ‥わぁ!!』
うっせーな。誰だよこんな夜中に‥
顎を伝う嫌な汗を拭い、時計を見て悪態をつく。
午前3時
周りを見回しここは病室の個室だったのを思い出す。
あぁ‥‥うるせーの‥
俺か。
自覚してしまうと自嘲ぎみな笑いがこぼれた。それと同時に夢であってほしいと願ったことも、確かに現実だったんだとおもい知らされる。
そうだ‥俺
俺‥ビョーキなんだった。
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