NO.10
『龍にい‥俺、なんかやった?』
俺は独り言のようにつぶやくと、龍にいの肩に手をおいた。おいたそれで、龍にいの服を強くつかむ。
‥なんかそうしないと..龍にいが崩れていきそうで。
『ごめん。
俺‥バカだからさ、全然わかんねんだ‥。』
いくら考えてみても、理由なんて一つもなくて。
『俺頭わりぃじゃん!だから‥』
子供みたくおどおどして、浮かぶことを必死にしゃべった。
『今までもそうだったんだから、なんかあるならちゃんと説‥』
――『ごめん。』
唐突に‥聞こえた言葉。
いままで話さなかった龍にいが、俺の言葉を遮るように声をかぶせた。
『‥え?』
気のぬけたような、情けない声。
とっさに出てきた言葉‥
――人間って‥みんなこうなんだろうか‥?
そんな事を、考えた。
何度,頭の中で繰り返しても、龍にいが言った意味がよく理解できない。
でもなにか‥とてつもなく嫌な予感が頭の中を駆け巡っていた。
――‥‥ゴメン
―――なにが?
『――え、龍にい‥
俺よくわかんない。てか‥‥え?』
――言ってること、ごちゃごちゃだ。
そんなことわかってた。
でも、
『‥‥ごめんって‥なに‥、?』
――よくわかんなくて。
『龍にいなんか俺に‥』
『ごめん‥!!』
――そう言うだけでいっぱいいっぱいだったのに。
―――『‥‥ごめんな‥‥っ‥‥櫂‥、っ』
皮肉にも‥ただひたすらに涙を流してこう呟く龍にいが、
俺のこれからを予測させたんだ。
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