NO.9
――『‥龍にい‥?』
一瞬だけ...思考が停止してた。
―『ねぇ‥龍にい‥?』
もう一度、すがるように名前を呼ぶ。本当に驚いたから、情けないけど....これしかなくて...
『‥なぁ龍にい、何か言えよ!!』
『‥‥っ』
思わず俺は声をあらげた。
龍にいが息を詰まらせる....
『おい龍にい、‥?』
‥なんか俺も、泣きそうだ
『龍にい本当‥どうしたんだよ‥?』
このセリフ。さっき何度言っただろう?
思わず俺はベッドから降り、すぐ横に座っている龍にいの肩に手をかけた。
『‥‥‥っ‥』
思わず俺は息をつめた。
俺が手をおいた龍にいの肩は...この上ないほど頼りなく、そして、震えてた。
頬に光るもの見えたとき、もう俺は知っていたのかもしれない。
龍にいは...泣いていた。
本当はわかってたんだ。頭のどこかで..実際はちゃんと知ってた。
龍にいが息をつめた事、ただそれが嗚咽だなんて認めたくなくて。
...だって、それが怖かったから。
龍にいが...泣いてること。
なんで?とか、どうして?とか。
そんなことどうでもよくて...
ただ
龍にいが泣いてるってこと。
肩が震えてて、殺しきれない嗚咽もらして、指は食い込むほど..強く絡めて。
いままで「あり得なかった」その事実だけが、
どうしようもなく...
怖かったんだ。
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