NO.3
皮肉な事に、残りの借金は父さんと母さんの保険金によって支払われた。
遺書が見つかれば
保険金は出なかったんだろうけど、
俺と龍にいは遺書の存在を隠した。
‥きっと、どこか客観的に
見つかったら駄目だと
思ったんだ。
俺は泣くに泣けなかった。あまりにも‥唐突すぎて‥
自分の両親が死んだ子供たちなんてたくさんいる。
日本は平和だ。いまこの時も戦争とかで命を落とす人が後を絶えない‥
俺よりもっと苦しい思いしてる人なんかいっぱい居るのに‥何故かその時だけは、この綺麗な雪の中にたたずんでいる自分が‥世界中の誰よりも‥ひどく惨めに思えていた。
絶望的な今の現状のなかで、現実味はないのに何故か気持ちは冷静さを取り戻していて。
これからどうやって生きていこうか
なにを目標にすれば前向きになれるのか
そんなことばかり考えていた。
今時、復讐なんて馬鹿げたこと考えない。
でもこの空虚感はぬぐえない。
苛立ち、悲しみ、苦しみ
憎しみ
その感情全てを飲み込んで俺は‥
俺たちは
人を信じることをやめた。
でもそのかわり
父さんと母さんの分まで
強く生きると
心に誓った‥。
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