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先生≠彼 番外編
♯2

「え?ええっ?」

けいちゃん寝てたんじゃないのお?

あたしが目をパチクリさせてるのを見て、けいちゃんはにっと笑って、身体を起こす。


「なんか、途中から音声だけ聞こえてたんだ。したら、千帆のため息が聞こえたから」

その前のは確かにダイエット記録で、けいちゃんには興味なさそうな特集だったけど。


「千帆、俺のためにウェディングドレス着てよ。――結婚式、しよ?」

さっきと逆に、今度はけいちゃんがあたしの髪を指先で弄びながら言う。

あたしとけいちゃんは秘密の関係、オープンに出来ない恋だったから。

『入籍は先に済ませて、式はあとでしようね』

名より実を取って、そんな約束はしたまんま、挙式のことは先延ばしのまんまずるずると来てしまった。


今も、けいちゃんとあたしが結婚してることは、身内と親戚以外は、学校の一部の先生とあたしのごく親しい友達しか知らない――。


「え、い、いいの?」

けいちゃん、酔っ払って気が大きくなってるからなあ。鵜呑みには出来ないて提案だと思っても、やっぱり嬉しい。


「うん。千帆が若くて可愛いうちにドレス姿見たいしね」

肩を抱かれ身体を引き寄せられて、ワインの味のするキスをされる。


あたしもけいちゃんの言葉とワインの味に酔ったみたいになって、「うん…着たい。結婚式したい」。キスの合間に何回もうわ言みたいに繰り返した。


「可愛いね、千帆…」

そう言って、けいちゃんは唇だけにしてた攻撃目標を、耳朶や首筋にまで広げる。すっかりあたしはえっちな気持ちになってた。


「や…ぁっん」

甘く呻いたあたしの声が、何を期待してるかなんて、けいちゃんはわかってるくせに。


「やめとく? 俺、酔ってるし」

そんな意地悪を言ってくる。


「きょ、今日は入籍記念日だし…っ」
「だね? あと、1時間くらいだけど。だから?」
「…し、してもいいですよ?」

ぷはっとけいちゃんは笑う。


「素直じゃないね、千帆」

言いながら、けいちゃんはあたしの着てるパジャマのボタンを外してく。


「身体はこーんなに正直なのにね」

けいちゃんはすっかり尖ったあたしの胸の先端を親指と人差指で弄ぶ。びりっと刺激が走って、あたしのお腹の奥まで熱くなる。

この家で、もう何回あたし達はこんな風に抱き合ったんだろう。けいちゃんの手管に慣らされ切った身体が甘い悲鳴をあげる。


「…んっ、けいちゃん…っ」

唇だけをなぞられるキス。胸だけに与えられる愛撫。

そうじゃなくて、それだけじゃなくて。もっともっと、ってねだるみたいに、じわりとまた、あたしの中から何かが溢れだす。


「…けいちゃん、して…」

あたしが言うと、けいちゃんは「よく出来ました」って、生徒を褒める先生みたいに言って、あたしのパジャマのズボンを勢い良く剥ぎとった。

「千帆」

けいちゃんがにやって笑って、あたしに耳打ちする。そんなことして何が楽しいのかな。

不思議に思ったけいちゃんからのお願いは、だけど、あたし達を変に興奮させてしまった。




「隠さなくていいのに」

両手を胸と下腹部に添えたあたしに、けいちゃんはくすっと笑う。そりゃ、もうけいちゃんはあたしの身体の何もかも知ってるだろうけど。


「…や、やなの…」

みだらなあたしの身体をソファの上に横たえて、けいちゃんはあたしの上で満足気に目を細めた。


まだつけっぱなしのテレビから、スタジオのコメンテーターの声がするし、天井からのライトも眩しい。


「せ、先生、テレビと電気…」
「消しちゃうの?」
「うん」
「しょうがないなあ」

ソファの前のローテーブルに手を伸ばし、けいちゃんはテレビと照明のリモコンを操作する。一気に訪れた静寂と暗闇に、あたしの感覚は逆に研ぎ澄まされる。

けいちゃんの唇はあたしの肩口を吸い上げたり、胸元を舌でぺろってしたり、縦横無尽に動き回る。酔ってるせいか、今日のけいちゃんの口の中はいつもより温度が高い。そんな些細なことも、あたしの身体を火照らせる一因になっちゃう。


ゆっくりあたしの足の付根までけいちゃんの唇が降りてきた時には、もうあたしの下着の中はぐちゃぐちゃだった。


「あーあ、もうこんなになっちゃってる。春日は悪い子だね」

あたしの身体をこんな風にえっちに変えたのはけいちゃんなのに。


使い物にならなくなったショーツはあたしの足から抜き取られちゃった。膝裏を持ち上げられ、両脚を開かされて、あたしはものすごくお行儀悪い格好で、ソファに座らされる。


さっき、けいちゃんがあたしに耳うちしたお願い――それは「春日」「先生」って呼び合おうか、って言うもの。

付き合ってた時だって、ふたりきりでいる時は、けいちゃんを「先生」なんて呼んだこと無いのに。

いちばん恥ずかしい部分に注がれるけいちゃんの視線を感じて、あたしは手で顔を覆って、視界を閉ざす。


「せ、んせ…見ないで」
「春日が触って欲しいとこ、指してごらん」
「や…ぁっ」

無理、と小さく拒絶すると、けいちゃんはわざと太腿の付け根やおしりの辺りを舌で舐める。

わざと焦らされて。


「先生、そこじゃなくて…」
「うん? じゃあ、何処がイイの? 先生に教えて」
「あ…ここ…」

たまらなくなってあたしは、自分で自分の花弁を開く。


「先生」「春日」って呼ぶ度に、薄らいでた記憶が濃厚にあたしの中に蘇ってくる。切なくて、やきもきして、それでも楽しかったけいちゃんとの高校3年の1年間――。


「せんせ、好き…」
「俺もだよ」

あたしが両方の指で開けた中に、けいちゃんの舌先が入り込んでくる。


「あ、ああ…んっ」

待ち焦がれてた刺激に、あたしは喉を反らし、腰を浮かせてけいちゃんの舌を受け入れた。


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あきゅろす。
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