先生≠彼【完】
♯4
髪に、首筋に、けいちゃんが唇を落とすのを、あたしはぎゅっと目をつぶって受け止める。くすぐったい、恥ずかしい。
「千帆、肩の力抜いてごらん」
あたしのパジャマのボタンを外しながらけいちゃんが、無理難題を吹っかける。
「そんなこと言われても…自然に力入っちゃう…」
「そうなの?」
けいちゃんはあたしの耳元でくすっと笑う。熱い息が吹きかかって「やぁ…っ」あたしは思わずくすぐったさに耳を抑えた。
「あ、ここ弱そう。攻めていい?」
「ダメダメダメーっ」
右手で耳を抑えて、更にその上から左手で抑えつけたのに、けいちゃんの手はあたしの防御を軽く突破してしまう。けいちゃんは親指と人差指で、軽くあたしの耳朶を摘んで、中に舌を挿しこんだ。
「ひゃあぁぁん」
初めて受ける刺激に、あたしは思わず奇声をあげる。
その後も鎖骨も胸もお臍まで。あたしの身体のあちこちにけいちゃんは、愛撫を加える。その度に甘えたような声が出て、身体がびくびくと反応しちゃう。
「もう…やだあ、恥ずかしい」
あたしばっかり感じちゃう。前にもけいちゃんにおっぱい触られたり、舐められたりしたことはあるのに、その時よりずっとずっと気持ちよかった。
「何でかな…」
ぽつりと漏らした独り言もけいちゃんはしっかり聞いてた。
「千帆が興奮してるからか、それとも慣れた? 寸止めで開発してきた甲斐があったかな」
言いながらけいちゃんは今度はあたしの下半身を攻め始める。あたしの左脚を膝で折り曲げて、太腿を強く吸った。
「けいちゃんのえっち…」
「えっちなことしてるんでしょ? ほら、これで千帆、すっぽんぽんだよ」
言うが早いがけいちゃんは、あたしの腰からショーツを剥ぎ取ってしまう。
「きゃあっ」
恥ずかしすぎる。慌てて胸とあそこを隠そうとした腕は「邪魔だよ、千帆」とけいちゃんにあっさりと奪われた。
「けいちゃん、超楽しそう…」
「うん。楽しい。夢にまで見た千帆とのえっちだから。俺がどんだけ我慢したと思ってんの」
「……」
「千帆も我慢しないで言いたいこと言っていいよ。相互理解が大事だから」
「じゃ、じゃあけいちゃんも脱いで」
涙目になって訴えると、けいちゃんはあっさりと着てたパジャマを脱ぎ捨てた。細いけど、しっかり筋肉のついた腕や胸。服の上から抱きしめてもらう時は何とも思わなかったのに、露になると急に男の人なんだなあ…って意識させられた。
ぎゅって抱きしめられると、汗ばんだ素肌が重なり合う。もう一度押し倒されてキスされると、泣きそうな気持ちになった。
嬉しくて、苦しくて、切なくて、幸せ。
今だけは、けいちゃんはあたしだけのけいちゃんだから。
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