[携帯モード] [URL送信]

先生≠彼【完】
♯5


そして、3月6日。卒業式の前々日。合格発表の日、あたしはひとりで志望の大学に向かった。


まだ大学の指定した時間には15分以上も早いのに、もうかなりの人だかりが掲示板の前に出来ていた。曇り空の下、受験番号の札を握りしめたまま、あたしもその前に立って、ごくんと生唾を飲み込む。

朝ごはんは喉を通らなかった。昨日の夜も、緊張であんまり眠れなかった。


「何処で勉強するかじゃない、何を勉強するか、なんだからさ。千帆はもう1個大学受かってるんだし、そんなに緊張しなくていいのに」

昨日の夜、けいちゃんには電話でそう言われたけど、緊張するな、って方が、いや、無理でしょ。


時間になって、長い白い紙を大学の人が持って、掲示板に順に貼っていく。

みんな、その紙に一斉に注目する。横に横に目線をずらして行きながら、目を凝らして、自分の番号を探した。喉が、渇く。心臓が口から飛び出しそう。


ただの数字の羅列なのに、周囲ではもうその数字に、狂喜する人、落胆して、その場を後にする人が現れてる。あたしの番号…焦って、探した。


1467、1467…。


「人の世虚し、応仁の乱だね」

もう、けいちゃん何てこと言うんだろ、不吉過ぎる。でも、けいちゃんの声を脳裏に響かせながら、あたしは必死にその数字を探した。


「嘘…」




[*前へ][次へ#]

5/11ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!