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先生≠彼【完】
#6

目一杯おしゃれして、ちょっとだけメイクもして。

あたしは、けいちゃんちに自転車で向かう。日曜の朝8時。線路沿いには葉桜が揺れてた。久しぶりに心も空も晴れ晴れした空。


「けいちゃんっ」

玄関で戸を開けてくれたけいちゃんに、あたしは抱きついた。


「おはよ、千帆」

久しぶりに名前で呼ばれただけで、ドキドキした。いかにも部屋着のTシャツとスゥエット。ゆるゆるだらだらモードのけいちゃんに、安心する。


「随分早いよな。俺まだ朝飯食ってない」

ふああとアクビをひとつしながら、けいちゃんは言う。


「支度出来たら来ていい、って言ったから」
「千帆が休みの日に、早起きなんて思わなかったんだよね」
「だって、興奮しちゃって眠れなかったんだもん」
「うち来るのなんて初めてじゃないじゃん」

そう言いながら、けいちゃんは食器棚からいつものガラス容器を取り出した。


「千帆は? ご飯食べたの?」
「うん。けいちゃん、あたしに構わず食べていいよ」
「コーヒーは?」
「飲むっ」
「ミルクたっぷりでね」

けいちゃんはあたしをからかいながらお湯を沸かす。けいちゃんの好きなコロンビア。


「けいちゃん…」

可能な限り、隣に近づいてみた。触れたい、って思うの、あたしエッチかな。手繋ぎたい。髪撫でて欲しい。キス…して欲しい。


普段は担任の先生なんだけど、けいちゃんはあたしの彼氏なんだって。
あたしに感じさせて欲しい。


あたしがあんまり近くにいるもんだから、ポットを掴んだけいちゃんの肘が、あたしの肩にぶつかる。


「あ、ごめん」
「う、ううん」
「お湯、掛かったりしなかった?」

あたしの顔を覗きこんで、けいちゃんは心配そうに言う。


「へーき…」
「良かった」

チュッ、と軽く唇に触れられた。それだけで、あたしの中の抑えつけてた感情が、堰を切ったように溢れだす。


「けいちゃん、好き…」

けいちゃんの腰に腕を巻き付けて、けいちゃんを見上げる。キスをねだってるみたいな、こんな仕草、今までは自分からしたことなかったのに。


「俺も好きだよ。ごめんな、いっぱい我慢させて」

けいちゃんは、あたしの後頭部に手を添えて、自分の方に引き寄せる。今度は触れるだけじゃなくて、長い深いキスになった。

けいちゃんの舌が、あたしの口の中をかき混ぜると、それだけで頭の心が痺れてくる。けいちゃんが好きな気持しか残らなくなっちゃう。


「…んっ…」
「千帆、可愛い。そのカオ、すっごいそそられる」
「う、うそ…っ」
「そんな顔、間違っても教室でするなよ」

しないよ、するわけないじゃん。けど、あたしは否定できなくなる、けいちゃんにもう一度キスされたから。左腕であたしの腰を抱きかかえて、けいちゃんの右手は、あたしの頬から首筋、鎖骨に降りてきた。


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あきゅろす。
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