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先生≠彼【完】
♯3



秋晴れの休日。空は、雲ひとつなく晴れ渡ってるけど、あたしの心は爆弾低気圧を抱えてる。絶対、荒れるよね。居ても立っても居られない、ってこのことで、1階の客間と自分の部屋を何度もうろうろしてたら、お母さんに「邪魔よ」と言われちゃった。


午前10時。約束の時間ピッタリにけいちゃんが来る。始業式の時に着てたスーツだけど、中のシャツはブルーのカラーシャツで、ネクタイも細めのカジュアルなもの。うーん、けいちゃん、無駄にイケメン仕様。

まるで、男性ファッション誌から出てきたようなけいちゃんを前に、寝間着兼のスエット姿だったお父さんは、ちょっとたじろいだ。


「お邪魔します」

あたしが揃えたスリッパに、けいちゃんはすっと足を入れる。そういえば、何度か家の前まで送って貰ってるけど、けいちゃんがうちに来るの初めてだ。

窓枠の埃とか大丈夫かな。って、何故かあたしの心配まで方向性がずれ始めた。


「今日は娘のことで話があるとかで…ご足労頂いてすみません」
「いえ、こちらこそ。お時間取って頂き、ありがとうございます」

いかにも日本のサラリーマン的な、上座の譲り合いをして、結局、お父さんが奥。けいちゃんが入り口に近い方の席につく。そして、その斜め後ろに所在なく座るあたし。


「――あの」

そんなシチュエーションの中、けいちゃんが口を開いた。


「千帆さんとお付き合いさせて頂いています。不躾で性急な願いだというのは、百も承知ですが、卒業したら、千帆さんを僕にください」

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