反逆アリス 3 「なんか、格好悪い・・・。」 涙が出たのなんて、いつ以来だろう。 多分相手が風魔だからって事もあるんだろうけど、自分がこんなに弱い人間だって再確認した。 「・・・。」 「ごめん、・・・僕、なんにも出来ない。なんとかしたいのに。」 まだやり残した事がたくさんあるのに、もっとやりたい事が数え切れない程あるのに。 「離れたく無いよ。」 同じだ、僕も臆病なんだ。 離れるのが怖い。怖いけど何も出来ない。 ただこうやって吐き出すだけ。 無力だ。 「・・・っ。」 「え?」 「・・・・・・。」 突然差し出されたスケッチブックに目を向ける。 『離れていても、想いは消えてしまわないだろう?』 風魔はスケッチブックに文字を書き続ける。 『初め、それを告げられた時には俺も恐らく悲しかった。 けれどその後、例え遠く離れてもその相手を想い続ける限り、心はいつも近くにあると聞いた。』 そんな事言うのは、慶次くらいだよね。 『ならば俺は一生、彩柊を想い続けようと思ったのだ。 心だけでも側に在りたいから。』 「風魔・・・。」 『だから悲しまないで欲しい。その時に思い出すのは、泣き顔より笑顔が良い。』 そんな事言われたら、余計泣きたくなるに決まってる。 だって、風魔が僕の事を本当に好きでいてくれてるってわかったから。 「あ、りがと・・・。僕もずっと、風魔の事想ってる。」 今絶対情けない顔してる。 けど目を逸らせない。逸らしたくなかった。 それからどちらともなく、触れるだけのキスをした。 [*Back][Next#] |