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逆走ロミオ


その後少し話をしてから、幸村君は帰って行った。
熱血具合と純情さは健在の様子。
いや、なかったら困るけど。

「まぁ、良い主様を持ったね。」

居たら良いな、という希望を込めて呟くと、天井裏から人が降って来る。

「そうだけどさぁ、あんた一体何者?」
「ただの仕立て屋ですけど。」

「胡散臭いねぇ。普通の人間なら忍が潜んでるなんて、分からないよ。」
「そうですね。けどちょっと考えたらわかりません?」

この距離感が結構悲しいよな。

「領土内と言っても、領主様を一人で出歩かせるなんて、君はしないでしょう?」
「・・・相楽さんさぁ。」

「・・・うっ!?」

突然鳩尾辺りを殴られ、膝から崩れ落ちる。
おまけにジロリと睨まれて、その無感情な視線に冷や汗が流れ落ちた。

「頭良すぎると、こういう奴に狙われるよ。」
「・・・ご忠告どうも。」

出る杭は打たれるって奴かな。

たしかにこの時代には有り得ない知識を持ってるから、利用される可能性は無きにしもあらず、と。

「じゃあ、死なないよう気をつけてね。」

「・・・。」

一瞬の内に姿を消した佐助君に、分かってたはずなのに悲しくなった。

「取り入る理由がなきゃ、あんなに冷たいんだ。」

涙は出ない。
あまりもショックが大きすぎるせいかもしれない。


「佐助君・・・・・・。」



それからしばらく俺は、ただ呆然と、彼が消えた方向をぼんやり見つめていた。

あぁ、やっぱりあの頃とは違うんだって、改めて思い知らされた気がした。


続く

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あきゅろす。
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