逆走ロミオ 2 その後少し話をしてから、幸村君は帰って行った。 熱血具合と純情さは健在の様子。 いや、なかったら困るけど。 「まぁ、良い主様を持ったね。」 居たら良いな、という希望を込めて呟くと、天井裏から人が降って来る。 「そうだけどさぁ、あんた一体何者?」 「ただの仕立て屋ですけど。」 「胡散臭いねぇ。普通の人間なら忍が潜んでるなんて、分からないよ。」 「そうですね。けどちょっと考えたらわかりません?」 この距離感が結構悲しいよな。 「領土内と言っても、領主様を一人で出歩かせるなんて、君はしないでしょう?」 「・・・相楽さんさぁ。」 「・・・うっ!?」 突然鳩尾辺りを殴られ、膝から崩れ落ちる。 おまけにジロリと睨まれて、その無感情な視線に冷や汗が流れ落ちた。 「頭良すぎると、こういう奴に狙われるよ。」 「・・・ご忠告どうも。」 出る杭は打たれるって奴かな。 たしかにこの時代には有り得ない知識を持ってるから、利用される可能性は無きにしもあらず、と。 「じゃあ、死なないよう気をつけてね。」 「・・・。」 一瞬の内に姿を消した佐助君に、分かってたはずなのに悲しくなった。 「取り入る理由がなきゃ、あんなに冷たいんだ。」 涙は出ない。 あまりもショックが大きすぎるせいかもしれない。 「佐助君・・・・・・。」 それからしばらく俺は、ただ呆然と、彼が消えた方向をぼんやり見つめていた。 あぁ、やっぱりあの頃とは違うんだって、改めて思い知らされた気がした。 続く [*Back] |