逆走ロミオ
2
戦国時代で暮らし始めて二年。
俺は27歳になった。
神様(玖徠)の言ってた事を鵜呑みにするなら、みんなは今、俺と出会った頃の年齢になってるんだろう。
俺ばっかり年取ったなぁ。
この時代で27歳ってもうオッサンだよね、オッサン。
仕立て屋兼自宅の奥、つまり住居スペースで昼食を取りながらそんな事を思ってみる。
「とりあえず風呂が無いのが、一番の及第点だよな、うん。」
現代人にとっては無いと困るものその1。
武田信玄はたくさんの秘湯を持ってたっていうし、この辺探したら温泉あるかもしれない。と思い続けて早二年、未だに探す暇を見付けられない。
「肉、食べたいなー。」
現代人にとって以下略その2。
この時代の蛋白源ってうさぎや魚くらいだけど、此処には海が無いから魚は貴重品。
まぁ、川魚も旨いけど。
「・・・会いたいな。」
そろそろみんなに。
現代に残して来た彩柊にも。
出陣する彼らを、遠目に見た事はあるけど、あの時はまだ俺と出会う前の状態なんだよな。
せっかく矛盾が無いように玖徠が頑張ってたんだから(多分)、俺はもう少し我慢しなきゃいけない。
記憶は無いんだろうけど、せめて話くらいはしたいな。
「・・・とは言っても、お武家様なんだよな、向こうは。」
商人っていう立場上、こちらから話し掛けるなんてそんな事出来るはずが無い。
身分って奴だよ。
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