[通常モード] [URL送信]

逆走ロミオ


小太郎君が作ってくれた朝餉(もう昼だけど)を食べて、街へ下りた。
何と無く団子が食べたくなったんだよな。
向こうにいた頃、これは甘味好き武将に出会うフラグだ云々と語っていた腐れ縁がいたけど、まぁどうでもいいや。

山の麓の甘味屋は、団子が本当に美味しくて、常連客が絶えず通って来るらしい。
かく言う俺も、そこには足しげく通っている。

まぁ、俺も仕立て屋の方を贔屓にして貰ってるからというのもあるんだけど。


店に入ると、忙しそうにテキパキ働いていた女の子が振り向いて元気に話し掛けてきた。
名前は麻ちゃんという、此処の看板娘で、俺の方の常連さんでもある。

「相楽さんいらっしゃい!」
「麻ちゃん、久しぶり。奥の席空いてる?」
「えぇ、こちらにどうぞ。」

麻ちゃんは、以前俺が仕立てた着物を身に纏っていた。
俺の趣味で少しゴスロリテイストを加えてたから不安だったけど、気に入ってくれてるようでよかった。

あくまで俺の偏見だけど、女の子はひらひらふわふわした格好が良いと思う。可愛いよね。


とりあえずみたらし団子を一皿頼んで、先に出されたお茶を啜る。

そこでぼーっとするのが結構癒されるんだ、これが。
まぁそんな感じでぼーっと店内を眺めていたら、ふと視界の端に影が映った。

「お兄さん、相席良いかい?」

声を掛けられてその影を辿れば、見覚えのある長いポニーテールが目に入った。
懐かしいと感傷に浸り掛けたけれど、不信に思われる前に笑顔を取り繕って答える。

「あぁ・・・、どうぞ。」
「ありがとう、助かるよ。」

目の前に座った相手・・・、まぁ気付いてるだろうけど慶次君は、にこにこ笑って話す。

「お兄さん、そこの山に住んでる人だろう?」
「俺の事知ってるんだ。」

「風の噂で、甲斐に腕の良い変わった仕立て屋がいると聞いてね、ちょっと探してたのさ。」


・・・どれだけ知られてんだ俺。
いや、それが奴ら(神)の魂胆なんだろうけど。

「腕は知らないけど、確かに変わってるかもね。」
「謙遜しなくて良いじゃんか。あの子の着物仕立てたのってあんただろ?」

そう言って慶次君は麻ちゃんの方を見る。

[Next#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!