逆走ロミオ 3 「それで弟君がだな、向こうじゃ今日が19歳の誕生日だ。」 「は、今って三月・・・。彩柊は7月生まれだけど。」 「こっちと向こうは若干のズレがあるのさ。向こうは今7月だ。」 ・・・成る程。納得して良いのか知らないけど。 ていうかズレがあるなんて初めて知った。 「だから君の代わりにプレゼントでもやろうと思って行ってみたのだよ。」 「なんか、不安しか無いぞ?」 「安心したまえ、バサラしながら夕飯という名のヨーグルトを食べてた所を勝手にこっちに飛ばしただけだから。」 「本人の意思は!?ていうか食生活大丈夫!?」 三食ずっとそんなのだったら俺ものすごく心配。 「トリップものは本人の意思なんか関係なくいきなり飛ばされるのが王道だぞ。」 「知らねぇよ、そんな王道初めて聞いたよ。」 「ついでに言うと飛ばす場所は部下がダーツで決めたのでな、何処にいるやら。」 「人の弟をなんだと思ってんだお前はー!?」 「受けに見せ掛けた攻めだな。」 ・・・駄目だこいつ、早くなんとかしないと。 話が通じないよ神様。 「玖徠、お前一刻も早く彩柊の居場所を突き止めろ。」 「ところで相楽君、君は今迷子だろう。」 「無理矢理話逸らしたよ、いくら神様でも赦されないぞ。死んで詫びろ。」 「君の家に現在、UMAに跨がった部外者が颯爽として向かっているぞ。」 馬の発音がアルファベットに聞こえたのは気のせいって事にしておこう。 いらいらしてるのは疲れてるからなんだ、俺今きっと疲労困憊なんだよ。 「ほら、すぐお客様を出迎えに逝きたまえ。目的地はあっちだ。」 「漢字間違ってないか!?」 「気のせい気のせい。・・・僕は君の事は気に入ってるが、弟君は嫌いなんだ。」 そう呟いて、玖徠はさっさと消えた。 うん、物理的な意味で消えた。 ・・・とりあえず、その誰かが着く前に家に戻ろう。 あとついでに、もう二度と一人で山に入らないようにしよう。 続く [*Back] |