ぶれいく! 2 「長ぁ、あんまり十蔵に心配掛けちゃあ駄目よ!」 「佐助、お前は自分を過信し過ぎだ。また倒れるぞ。」 現れ出たのは我が旧友こと忍隊副長、霧隠才蔵と、忍隊の紅一点、海野六郎ちゃん。 海野ちゃんは恐らく本名じゃないだろうけど、くのいちじゃなくて忍だから!が彼女の言い分だから男の名前の方が都合が良いんだろうな、と解釈している。 才蔵は言わずもがな。俺の初恋を返して欲しい女顔である。 変装の達人らしいけど、タイミングが悪いのか今のところそれを活用した所を見た事が無い。 誰に説明してるんだよって話ですよねごめんなさい。 「大丈夫だって言ってんだろ。」 「・・・海野、長を連行しろ。」 「あいよー!」 「だぁぁぁ!離せ海野ぉ!!」 嵐の如く勢いで長を担ぎ上げて草屋敷に連れて行く海野ちゃん。 あの子はとても怪力です。 「お前も一刻くらい寝ろよ。」 「あぁ・・・。」 とりあえず、うちの長の扱い雑過ぎね?と毎回思う。 女の子に担ぎ上げたり幸村様にパシられたりしてる長を見てると、俺本当悲しくなるんだよ。 「えへへへ、十蔵ちゃん添い寝したろーか?」 「・・・遠慮する。」 若干悲しい気分でいると、十勇士一の変態(由利という)に恐ろしい事を言われたのでとりあえず逃げた。 ていうか何処から湧いて出た! なんだか休む気も失せたから、高い木の枝に座り込んで上田の城を眺める事にした。 この時代に転生して15年近く経つけど、未だに夢なんじゃないかと思う事がある。 俺が乗り移った・・・この十蔵という人は自分で言うのもあれだが物凄くイケメンだし、ていうか幸村様始め此処にいる人ってみんな顔が良いし、平凡一直線な高校生だった俺には正直都合の良い夢に思えて仕方がない。 俺はあの日の事故からずっと、病院のベッドで眠ってるんじゃないかとかさ。 まぁ腹も減れば眠くもなる、怪我したら痛いし死にかけた事もあるから確実に現実なんだけどさ。 [*Back][Next#] |