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忍*友達以上恋人未満





「二人は仲良しだよね」


 喧嘩の真っ最中に当たり前のように綾部に言われ、三木ヱ門と滝夜叉丸は数秒固まった後、声を揃えて叫んだ。


『何処がだっ!?』


 ぴったりと声が重なってしまったので、二人はまたお互いを睨みつける。
そんなぴりぴりした雰囲気を感じないのか何なのか、綾部は呑気に手を叩いた。


「おやまぁ、息もぴったり」



















「そりゃあ、仲良しではないけど」


 三木ヱ門は木陰に座ってふと呟いた。
隣に座っていた滝夜叉丸もそれに続けるように呟く。


「仲が悪いわけでもない」


 滝夜叉丸の呟きに驚いたのか、三木ヱ門はえっと声をあげて隣の滝夜叉丸を見つめた。


「珍しいな、滝夜叉丸からそんな事言うなんて」

「…たまたまだ」


 滝夜叉丸は空を見つめたまま、三木ヱ門に視線を向ける事なくそう言うと、そろりと投げ出された相手の手に触れた。


「っ」


 三木ヱ門はびくりと身体を震わせるが滝夜叉丸は落ち着いた様子できゅ、と手を握った。


「…これって」


 三木ヱ門は握られた手を見つめながら、軽く眉を寄せた。


「仲が良いを越えてるな」

「まぁな」

「じゃあ何て言うと思う?」

「…知らん」


 三木ヱ門は素っ気なくそう吐く滝夜叉丸に目を向けると、向こうを向いた顔と真っ赤な耳が見えた。
その耳で向こうの相手の表情まで分かりそうで、三木ヱ門は苦笑する。


「そうだな」


 このまま此処にいると今の関係を続ける事に自信がなくなりそうで、三木ヱ門は滝夜叉丸の手をそっと放した。
そのまま立ち上がると、振り返らないまま一言、


「やっぱり僕はお前が好きみたいだ」


そう言うと、そのまま遠くへ歩いて行った。

 滝夜叉丸はしばらく三木ヱ門の後ろ姿を見つめていたが、その姿が完全に見えなくなると、ぽとりと言葉を落とした。


「…恋仲、は…恥ずかしいな…」







End.


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