[携帯モード] [URL送信]

気まぐれ短編集
野良猫のような君(上)
俺、啓太(けいた)。

『あー…。もうビール1本になっちまったぞ?』

『マジかよ。俺まだ足りねぇ!!』

只今サークル仲間と俺の家で飲んでる最中だ。

「ん。じゃあ俺、ビール買いに行ってくるわ」

「……ならオレも一緒に行く」

そう言って立ち上がったのは、恋人(サークル仲間にはもちろん秘密だけど)の千佳(ちか)。
千佳は財布を握りしめ、さっさとドアを出て行く。
俺も続けて出ようとすると後ろから

『ついでにつまみも!』

『あたりめとチーズ忘れんなよ!』

『早くなぁ!』

と言われそちらを向かずに

「はいはい。ったく、めんどくせーな」

と呟いてドアを閉めた。
すると先に出ていた千佳が涙目を堪えるように無言でこちらを見つめてくる。

「……悪かったよ」

その理由を察した俺は謝りつつ、千佳の頭をそっと撫でた。


そう…
それは数時間前の事…


「千佳。今日……しないか?」

「えっ!?ちょ…啓太!?」

俺は部屋に遊びに来た千佳を見て理性が保たなくなり、ついうっかり押し倒してしまったのがきっかけだった。

「俺達、付き合ってもう1年半だろ?なのに、最後までしてない…」

「ばかかっ!?んな恥ずかしいこと……んぁっ…」

そう反論する千佳の唇を俺の唇で優しく塞ぐ。
最初は少し抵抗をするものの、千佳だって普通の男の子だ。
性欲にはかなわない。

千佳の抵抗も緩んできたところで舌を掬い取り絡めてやると、小さくくぐもった声をあげる。

もっと声を聞きたいと下に手を伸ばそとした……その時。

『おーい。今日ここで飲みやろーぜー?』

『酒とか買ってきたんだけどー』

『入るぞー』

ガチャと不用心にも鍵のかかっていなかった部屋へ勝手知ったるように入ってくる男達の足音が聞こえる。
俺は慌てて立ち上がり千佳を座らせる。
それと同時くらいに先頭の男が2人のいる部屋に入ってきた。

『っと…先客?……って千佳じゃん。なんでいんの?』

「…いちゃ悪いの?」

そう言われた千佳は不機嫌そうに眉を顰め、その男を睨みつける。

『いや…悪くねーけど……。珍しくね?お前あんまり人と関わろうとしないじゃん』

『あれ?なになに?どしたの?……わっ。千佳だ』

『本当だー。珍しー』

そう。千佳は基本的に人に懐かない。
それはそれは、野良猫のように…。
えっ?じゃあ、なんで懐いてるんだって?
それは俺達の秘密w

んでもってなんやかんや始まった飲み会。
で、今に至るわけだ。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!