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気まぐれ短編集
俺の事情。
「んっ…ふぅ……ぁっ」

「気持ち良いか…?」

「…あぁっ…ぅっ…ぃ……イクッ……」



ザァー…

外から聞こえる雨の音に目を覚ます。
起きると、いつも1人。

俺達はそういうことをするだけの関係。
所謂セフレってやつだ。
しかも、あいつから求められた時だけの性欲処理として…。

ここは、綺麗なラブホテルのベッドなんかじゃなくて、ただの廃屋の一室にベッドがあるだけの簡易的なところ。
誰かがくる心配はないからか、毎回気を失うまでその行為は止まらない。
それを思い出すと、今でも体が熱くなる。

「ふぅ…」

溜め息をついて起き上がると、腰の痛みと気だるさは残るものの、後始末はしっかりされているため自分の体は綺麗で、行為の後に残る不快感もない。

いつもの行為は決して優しいものとは言えないが、ここまでしてくれて、しかも丁寧に服まで着せてくれてあるとどこか優しさを感じてしまう。

「ふふっ…」

その優しさについ口の端が緩んでしまう。

俺はあいつに恋してる。
セフレには求めちゃいけない感情だと知っているにも関わらず…。

ベッドにはあいつの温もりがあって、ついさっきまでここに居てくれたんじゃないか…と自惚れてしまう。

「そんな訳ないのに…」

独り呟くと、今度は涙が溢れてきた。

「……っ…ふぅっ…ぅぇっ…」

あいつが好きで、自分からセフレにならないか?と誘った。
好きだと伝えて断られるのが怖くて、気持ち悪いと蔑まれるのが嫌で、せめて体だけでも…と。

それでも拒まれると思っていた俺は、
*絶対気持ち良くさせる
*何されても文句を言わない
*自分からは何も望まない
という条件で了承を得た。

だからこれ以上望むことは許されない。
まして、恋人になってほしいなんて以ての外だ。

どんなに好きで辛くても、セフレはセフレ。
ただ体を重ねるだけの関係。

窓の外で降っている雨にふらふらと近づき手を伸ばし、滴る雫を強く握り締める。

「俺の気持ちも、この雨に流れて消えてしまえばいいのに…。」

涙を流しながら独り小さく呟いた。

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