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気まぐれ短編集
わんと言えっ!(ver.ハスキー)B
「あー…俺もなんか食わなきゃなんねぇな。お前、少しお留守番しとけな?ちょっと買い物に…」

おるすばん…?

      ◇◆◇◆◇◆◇      

『いいか?ここから出ちゃダメだよ?』

「なんで?」

『お前達は、ここでお留守番しなきゃ行けないんだ。そうしないと、違う奴がここに住み着いちゃうからね』

「おるすばんってなに?」

『ここを守るって事だよ。お前のお家は今日からここなんだよ』

「ごしゅじんさまはどこいくの?ままは?」

『私とお母さんは違う所に住むんだ。だからお前は、兄弟を守るために、ここから出ちゃいけないよ』

「やだ!ぼくごしゅじんさまとままといっしょがいい!」

『あぁ。もう、うるさいな。家じゃそんないっぱい飼えないんだよ!だからお前らはもういらないの!特にお前は、他の子と違ってしゃべるし!気持ち悪いんだよ!』

「えっ…」

『じゃあな』

ぼくは、きもちわるいの…?
ぼくは、しゃべっちゃいけないの…?
ぼくは…
いらない子なの…?

      ◇◆◇◆◇◆◇      

「いやだ…」

「はっ?」

「いやだ!ぼくもいく!おるすばんいや!」

「いやって言われても…俺リードも何も持ってねぇし」

「いやだっ…。おるすばん…。…いや…」

また、ひとりになるのは…

「はぁ…。ったく。しょうがねぇな…。連れてってやるから泣くなよ」

「えっ…?」

「ほら。涙出てっから」

ぼくのほっぺがなにかでぬれた。
それがなみだってはじめてしった。
そして、そのなみだをこのにんげんはやさしくふいてくれた。

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