[携帯モード] [URL送信]

気まぐれ短編集
野良猫のような君(中)
無言で俯く千佳に口付けようと顔を近づける。
しかし、それはバチンッという音と共に、何かに阻まれた。
それが千佳の手であることに気付くのには、少々時間がかかった。
じんわりと痛みが走る頬。

「ち…か…?」

恐る恐る顔をのぞき込むと、千佳の頬には透明の幾筋もの跡が残っていた。
そして、それが月明かりに照らされキラキラと輝く。
こんな場面で不躾ではあるが、それはとても美しかった。
俺は耐えきれず、千佳をグッと引き寄せ、強く抱き締めた。

「は…離せっ!オレは怒っているんだ!」

抵抗する千佳などお構いなしに、俺はもう一度、今度こそ、阻む事の出来ないよう腕をしっかり掴み口付けた。

「や…めっ……んんっ……ふぁっ…」

舌を絡め取って、深く、深く…。

抵抗していた千佳も、だんだん大人しくなる。
大人しくなったのを見計らって、そっと唇を離すと、途端に下を向いてしまう。
だから、千佳の頭をもう一度優しく撫でると、その手をギュッと掴まれる。

「どうした?」

優しく尋ねると、真っ赤な顔をあげて小さく呟いた。

「俺……だって、男なんだ…。あんなこと…されたら、そう簡単に治まるわけないだろ…」

先ほどまでは気にしていなかったが、千佳のソコは確かに主張していたのだ。

怒っているって言うのは、俺が鍵を閉めなかったことによって仲間に見られそうになったことじゃなく、最後まで出来なかったことだったのだと気付くと、途端に俺の理性はぶっ飛んだ。


ガチャ

『おー。早かったな?買ってきたか…』

「ごめん。悪いけど今日はちょっと帰って」

『あぁ?なんだよせっかくいい気分で…ってうわっ!』

「はいはい。出た出た。ばいばい。またね」

バタン
ガチャリ
ドサッ

「千佳…可愛すぎ…」

俺は中で飲んでたやつらを適当に追っ払い、すぐさま千佳を押し倒した。

「啓太…。オレもう…我慢出来ないよぅ…」

千佳は目にいっぱい涙を溜めて訴える。
そんなことされては、我慢の限界だ。

「わりぃ千佳…。俺、優しく出来ねぇかも」

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!