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気まぐれ短編集
いつでも一緒!

「慎(しん)ちゃん♪一緒かーえろ♪」

「悪いな瑠威(るい)…。俺今日補習だから先帰ってて?」

「えー…。それなら俺待ってるよ♪」

「いや…でも悪いし…。」

「いいのいいの♪俺が好きで待ってんだから♪ほら。補習遅れちゃうよ?」

「……ありがとう。」

俺 石橋(いしばし)慎弥と高柳(たかやなぎ)瑠威は小学校からの幼なじみで、今では公立高校のいち男子である。

昔から俺はあまり頭が良くなく、補習で残されることは日常茶飯事だった。
一方瑠威は、なぜ同じ学校にいるのかと思うくらい成績優秀である。しかも、羨ましいくらい女の子にモテモテだ。

だけど、昔から瑠威はなぜか俺と一緒にいたし、それが普通になっていた。


『……であるから、この式はこうなる。……石橋…聞いてるか?』

「あっ。はいっ!しっかり聞いております!」

『お前の為にわざわざ補習を開いてるんだからちゃんと聞いとけよ!?』

「もちろん!」

『はぁー…。ったく…。仕方ないな。続きはまた明日な。』

「ふへぇー…。疲れた…。」

帰る支度を整え昇降口に向かった。靴を履き替え校門まで行くと、その先には女の子に囲まれた瑠威がいた。
いつもの光景なのに、なぜか胸がズキッと痛む。

「瑠威おま…『ねー!遊び行こうよぉ!』」

『誰待ってるか知らないけどこんなに待たされて高柳君可哀想!』

『高柳君凄い疲れた顔してんじゃん!私達が癒やしてあげるから♪』

ズキッ
(…瑠威が疲れてた…?俺…気が付かなかった…。なのにこんな待たせたちまって…。)

俺が女の子の言うことを考え瑠威の顔を見ると、確かに顔色が悪かった。すると瑠威と目があってしまった。俺の姿を見つけた瑠威が女の子の間からこっちへ向かってきた。

「あっ!慎ちゃん!補習終わったんだ?じゃあ帰ろ♪って事で皆さんさよーな「行けよ。」」

「へっ?」

女の子達にお別れを告げようとした瑠威の言葉に俺が言葉を挟んだため、瑠威は思わず間抜けな声を出した。

「行けよ。瑠威。俺は1人で帰れっから。たまにはいいんじゃねぇ?っと言うより俺と帰る必要ねーし。じゃあな」

そう言ってその場から走り去った。
その後ろから瑠威が「ちょっ…慎ちゃん!」という声には見向きもせずに…。


俺はある程度走ってくると途中の小さな公園のブランコに腰を下ろした。

ズキッズキッ
(………はぁ…。俺…何言ってんだろ…。それにこの胸の痛みはなんだ…。)
1人息を整えつつ考え事をしていると、上から声が降ってくる。

「はぁ…慎ちゃん……はぁ…意外と…はぁ…はぁ…足…はや…。」

見上げると息を切らしながらも言葉を続けようとする瑠威がいた。

「お前…なんで「ごめん!」」
俺の言葉を遮って瑠威が急に謝ってきたが何を謝られたのかわからずに首を傾げていると瑠威は深呼吸してから話しを続けた。

「俺はあんな女の子達と遊ぶ気はなかったんだけど…なんか勝手に集まってきて…俺何回も断ったんだ!」

「そんなの聞いてな「聞いて!」」

俺はまたしても瑠威に遮られるが、あまりの勢いに負けて押し黙った。

「俺は…俺は慎ちゃんが好きだ!」

「俺も好きだけ「違う!」」

(???なにが???)
俺は瑠威の意図が読めず頭の上に?を飛ばす。
すると瑠威は下から見上げる俺の唇を奪ったのだ。俺は少しの間なにが起きたかわからずに固まったが、理解するとすぐに顔を真っ赤に染め瑠威からすぐに離れた。

すると瑠威は少し傷ついた顔で微笑んだ。

「慎ちゃん…俺の好きってこういう事だよ?ねっ?慎ちゃんの好きとは違うでしょ…。ごめんね…」

そういって瑠威は俺に背を向けて去ろうとした。

(これで…いいのか?俺…俺は…)
そう考えているうちに、俺はなぜか瑠威のブレザーの袖を引っ張った。

「慎…ちゃ「俺の気持ちは無視かよ。」」

(何言ってんだよ!俺!)
俺は1人心の中で葛藤するが何故か唇からスラスラ言葉が出て行く。

「俺だって…瑠威の事好きだ!ずっと…瑠威は女の子にモテるから心配で…でも…!」

そう言ったところで俺は瑠威に抱きしめられていた。
そして、瑠威に耳元で「嬉しい…大好きだよ…」と囁かれたが恥ずかしくて真っ赤になる慎弥は、返事の代わりに瑠威を強く抱きしめ返した…。

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あきゅろす。
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