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トラウマだって乗り越えて...
最悪な出逢い.1

――――ざわざわ…

『聞いたか?今日転校生が来るらしいぞ!』

『マジで!?可愛いかなぁ?』

『まぁ…女子ではないのは確かだけどなぁ…』

『でも、可愛ければ目の保養にはなるだろ♪』

朝から珀楼学園2年A組の教室はこの話題で持ちきりだった。
しかし、教室奥の窓際ではそんな話題など興味なさそうに外を眺め者が1人。

「煌夜♪聞いた?」

「あぁ…」

「今日転校生来るって♪」

「あぁ…」

「まったく煌夜は…。いつも思うけど、もーちょっと人に興味をしめそうぜ?あっ!俺の調査によるとその子、すっげぇ可愛いみたいなんだが…」

「………あぁ…」

「………ふぅ」

近寄り難い奴No.1な橘高 煌夜(きたか こうや)の唯一の友と言えるのが、この少し口うるさい情報通な逢繕 荊(あいぜん けい)である。

「転校生…どんな奴だろう…。煌夜はどんな奴だと思う?」

「………俺は「みんな席に着けー。HRを始めるぞ」」

「ちぇー…。やっと煌夜の好きなタイプ聞けると思ったのにぃー」

思わぬ邪魔(教師)が入り、煌夜の真相を聞きそびれた荊が煌夜をからかいながら笑う。

「なっ!?」

「冗談w」

「ったく…」

ぶすっとする煌夜の心などつゆ知らず、荊はニヤニヤした顔の煌夜を見ていた。

―――ざわざわざわ…

そして先ほどクラスに入って来た教師がHRを始める。

「静かにしろー。えー…みんなもう知ってるかも知れんが、このクラスに転校生が来た」

『先生!可愛いですか!?』

『どんな子!?』

「煩いぞ!見ればわかる!よし。入れ」

――――ガラガラ…

…………………しーん……

「今日からこのクラスの一員になった狗忠(くじょう)ほ「わぁ!!!」」

教師の声をかき消して叫ぶ声にクラス中の視線が集まった。
その先に居たのは―――荊だった。

「逢繕…。先生は今しゃべっている途中なのだが…?」

教師の少し怒り混じりの声など無視し、荊は転校生を指差しながら叫んだ。

「もしかして…ほーちゃん!?」

転校生のほーちゃんと呼ばれた少年はちらっと荊を見て、ニッコリ微笑んだ。

みんなはその顔を見て
『おぉー!!!!』
と叫ぶ。……1人を除いては…。

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