トラウマだって乗り越えて...
4
◇◆◇◆◇◆◇
コンコンッ
「入るよ?」
凜の部屋に入ると、凜は暗い部屋の中、ドアに背を向けて立っていた。
「凜……何かあったのか…?」
「クスクス…」
荊が声をかけると、凜から不気味な笑い声が聞こえる。
不審に思った荊が凜の顔を覗き込むと、凜は不適な笑みを浮かべていた。
「凜…?」
「あぁ、荊か。なぁ、さっきのあいつの顔見た?」
「あいつ…?」
「兄さんだよ」
「あぁ。煌夜がどうかしたのか?」
「…お前にはわからなかったのか…」
「なにがだ…?」
荊は凜の言いたい事がいまいちわからず、首を傾げた。
すると、凜は独りクスクスと楽しそうに笑う。
「まぁ…、いずれわかるさ」
◇◆◇◆◇◆◇
カチコチカチコチ…
時計の音が静かな部屋に響く。
いまだ立ち尽くしたままの煌夜と焔。
煌夜は何かを悩み、焔は静けさにそわそわしていた。
「あ、あの…」
「焔」
「は、はいっ」
焔が話しかけようと口を開くと、煌夜が急に焔の名前を呼んだため、びっくりした焔はついシャキッとした。
しかし、その後を続けようとせず、煌夜はまた黙り込んでしまった。
恐る恐る顔を覗くと、煌夜は眉間にしわをよせ、いつにない仏頂面だった。
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