トラウマだって乗り越えて...
6
『お待たせしました。ごゆっくりどうぞ』
「で、話が逸れたが…何があったか話してくれるか?もちろん、全てとは言わない。ただ、今回の件については言ってもらう。凜も関わっているみたいだしな」
店員が注文した品を並び終えると、煌夜は仕切り直すように焔に告げる。が、
「うはぁ。やっぱりここのケーキは最高だなw」
「…そんなに美味しいの?」
そんな煌夜の話など、ケーキに夢中な2人には全く届いてはいなかった。
「美味いぞ!すげー美味い!」
「でも、甘いのあんまり好きじゃないんだよね…」
「かー!もったいねー!人生の半分、いや…3分の2は損してる!」
「そ、そんなに?」
「あぁ!もったいねーよ!なっ、煌夜?」
焔は、やっとケーキから目を離し、煌夜の方を向いた。
そんな焔に、煌夜は
「なっ、煌夜?じゃないだろう!?俺の話を聞いていたのか!?」
と言うが
「いや?全然。何か言ってたのか?」
と即答されてしまい、がくりと肩を落とした。
「とにかく、凜と何があったかだけ…」
「僕が何?」
「だから、お前と何があったか…って、えっ?」
煌夜がバッと顔をあげると、目の前には凜が立っていた。
「やぁ兄さん。偶然だね?」
「お前、なんでここに…?」
「げっ、なんでお前が…」
煌夜と焔の声が重なる。
その反応に、凜はにこりと笑う。
「やぁ焔くん。この間ぶり。家に帰ったら鷹野がまだ帰ってきてないって言うから、ここかなぁーと思って来てみた。隣いい?」
「良くない!」
「おま…君には聞いてないよ?焔くん?」
凜の顔は満面の笑み。
しかし、確実に黒い何かが醸し出されていた。
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