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トラウマだって乗り越えて...

「友達なら俺の目の前にいるだろう。それともお前は俺の友達ではないと?」

煌夜は焔の方を向いて真顔で言う。
焔は一瞬、何を言われているのかわからず固まるが、みるみる顔を赤らめると、照れを隠すように

「ば、ばか。そういう意味じゃねぇよ!」

とそっぽを向いた。

「あっ!ずるい!俺も友達だよね?ねっ、煌夜?」

そのやり取りを見ていた荊も、話に加わってくる。

「あぁ。いちをな。……たまに、うざいが」

「確かに荊はたまにうざいよなぁ…」

煌夜と焔は、荊を見て頷く。
そんな2人に怒った荊は、ぷーっとほっぺを膨らまして、手を構える。

「あっ、ほーちゃんまで!ひっどーい!そんな事言うやつは…こうだっ!こちょこちょこちょ」

「や、やめっ。あはっ、くすぐった、なぜ、俺、やっ…はははははっ」

「だって煌夜が言い出しっぺだもん!俺の怒りを思い知れーっ!」

「ははっ、やめっ、本当に、くくっ」

くすぐりの標的は煌夜に絞られ、荊は脇や首を徹底的にくすぐる。

すると、煌夜の手からひらりと結果用紙が床に落ちた。
荊は、それをすかさず取り上げると、勝ち誇った笑みを浮かべる。

「へへんっ。煌夜の結果用紙もーらいっ。どれどれ…」

「か、返せ!」

「あれぇ。今回不調だねぇ?」

にやにやと笑いながら、煌夜の結果用紙をひらひらさせる。
煌夜はかーっと赤くなり、

「今回は凜が急に受けないと言い出して、張り合いがなくてだな…」

と言うと、それまでぼーっと2人のやり取りを見ていた焔が、急に煌夜に掴みかかった。

「凜が…凜が受けなかったってどう言うことだよ!?」

「いや…どうもこうも、そのまんまの意味だが…」

「なんで受けなかったんだよ!?」

「ほっ、ほーちゃん!?ちょっと落ち着いて!?」

荊は、今にも煌夜に殴りかかりそうな勢いの焔を、後ろから羽交い締めにして落ち着かせる。
煌夜は何がなんだかわからず、1人興奮している焔を見つめ返すことしか出来なかった。

その後ろで教師が、
『こんなとこで喧嘩なんかするなよなぁ…』
と呆れた声をもらすが、その声は3人には届いていなかった。

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あきゅろす。
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